「200円安い」は基本使用料だけ──実は割高なオレンジプランとブループラン(1/2 ページ)

» 2006年10月30日 16時30分 公開
[石野純也(EYE's factory),ITmedia]

 「基本使用料2880円」を大きく掲げ、さらに各種の「0円」施策を打ち出したソフトバンクモバイルの「ゴールドプラン」が大きな話題になっているが、実は同時に発表された「ブループラン」と「オレンジプラン」も非常に分かりにくい料金プランだ。以下にその詳細を見ていきたい。

 ドコモ対抗のプランがブループラン、au対抗のプランはオレンジプランという名称で、それぞれ両者のブランドカラーを意識したネーミングとなっている。いずれもドコモとauの料金プランを完全にコピーして、さらに210円引き(税込み)にしたソフトバンクの新料金プランだ。番号ポータビリティ(MNP)でソフトバンクに移るユーザーは、何も考えずに以前のキャリアと同じプランを選ぶこともできる。

 ただし、ソフトバンクが言っている「200円引き」(税抜き)という言葉には注意が必要だ。これは、正確に表現すると“基本使用料の税抜き価格を比べるとソフトバンクの方が200円安い”というだけなのだ。ケータイを使うにあたっては、基本使用料以外にもさまざまな料金がかかるのは、請求書を見ればすぐに分かるだろう。そこで、実際に利用するケースを想定し、ブループランとオレンジプランが本当にドコモやauの料金よりも安くなるのか検証した。

 なお、以下の原稿では税抜きの料金に関してはあえて「税抜きで」と表記している。これは、ソフトバンクが税抜きで「200円安い」と表記しているため、その点についても検証の必要があるからだ。

請求書や補償を含めると実態はドコモよりも割高

 まず、以下の表を見てほしい。これは、ドコモの料金プランと、ソフトバンクのブループランを比べたものだ。基本使用料の項目を見ていくと、ブループランがドコモのプランより、税抜き価格で常に200円安いのが分かる。

Graph ソフトバンクのブループランとドコモの料金プランの比較

 しかし、これはあくまでも基本使用料だけの話。実際にケータイを使う場合、iモードやYahoo!ケータイを使わない人は少ないだろう。それぞれのネット接続機能を利用するための料金のことを、ドコモでは「iモード付加機能使用料」、ソフトバンクでは「S!ベーシックパック」と呼んでいる。この使用料は、以下のようになる。

ネット接続サービス 月額
iモード付加機能使用料 200円(税込210円)
S!ベーシックパック 300円(税込315円)

 ソフトバンクのS!ベーシックパックは315円で、ドコモのiモード付加機能使用料の210円より105円高い。この時点ですでにソフトバンクの料金的なアドバンテージは税抜きで100円だ。

 次に、ドコモユーザーが請求書をWebやiモードで見ていたとする。この場合、「eビリング」という割り引きが適用されて105円引きになる(税抜きで100円引き)。また、逆にソフトバンクでは請求書の発行に105円が必要。つまり、ドコモと条件を合わせようとすると、ソフトバンクの方が税抜きで100円高くなる計算だ。この時点ですでにドコモとソフトバンクのブループランの金額はまったく同じになる。

 また、万が一ケータイを使えなくなった場合のことを考えると、「補償」も考慮に入れるべきポイントだ。ソフトバンクの「スーパー安心パック」(月額498円)を利用すると、万が一の故障時に修理代金が100%引きになる。また、盗難・紛失・全損・水濡れなどの際にも、「お客さまがお使いの機種と同一機種を、お手ごろな会員価格で購入いただけます」とあるため、実際の価格は分からないが安価で同じケータイを使い続けられるということだ。

 しかし、ドコモではドコモプレミアクラブ(利用/登録料無料)に加入すれば同様の補償が“無償”で受けられる。さらに月々515円支払うと、水没や盗難、紛失、故障などの際に5250円で新しい機種を家まで届けてくれる「ケータイ補償 お届けサービス」を実施している。

 ソフトバンクで「新スーパーボーナス」に加入し、0円で端末を購入した場合、万が一、ケータイを壊してしまったりすると、端末のローンの残りを一括で支払わなければならない。この点を考えると「スーパー安心パック」に加入しておいた方が安心だが、そうすると、ドコモよりもさらに498円、税抜きで475円高くなる計算だ。

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