インタビュー
» 2007年03月06日 13時45分 公開

3キャリア分の着うたを一括変換、作業時間を85%削減──KCCSのASP「おとチェン♪」の強み

同じ曲から着うた/着うたフルを生成するにもかかわらず、3キャリアそれぞれ使うツールが異なり、変換には手間と時間がかかる。これらを一括処理できるのがKCCSのASPサービス「おとチェン♪」。au向けデータは着信設定情報の自動付加にも対応する。

[後藤祥子,ITmedia]
Photo KCCSインターネットビジネス事業部事業開発課ASPグループ長の杉田裕氏

 auの「EZ着うたフル」が1億ダウンロードを突破するなど(2月21日の記事参照)、またたくまに携帯市場を席巻した着うた/着うたフル。ドコモやソフトバンクモバイルも対応機種を拡充しており、市場は急速な広がりを見せている(2月27日の記事参照)

 市場の拡大に伴い、重要度を増すのが楽曲のラインアップだ。コンテンツプロバイダは多様化するユーザーの趣向に合わせて、ヒット曲からインディーズ、新譜からオールディーズに至るまでさまざまな楽曲を揃える必要に迫られている。

 ユーザーから見ると、“携帯で聴ける音楽”“着信音にできる音楽”にしか見えない着うたや着うたフルだが、ファイル生成には予想以上の手間がかかる。歌詞カードやジャケット写真を付加する作業が必要となるのに加え、作成用のツールが3キャリアでそれぞれ異なる。同じ1曲なのに“1回の作業で終わらない”ところが、コンテンツプロバイダの負担になるわけだ。

 着うたコンテンツの作り込みを、もっと手軽に一括処理でできないか──。こんな発想から生まれたのが、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)の着うた/着うたフル変換ASPサービス「おとチェン♪」だ。3キャリア分の着うたデータを一括変換するというこのシステムの特徴について、KCCSインターネットビジネス事業部事業開発課ASPグループ長の杉田裕氏とICT営業本部プラットフォーム営業統括部の川口葉子氏に聞いた。

3キャリアごとに異なる、着うた/着うたフル作成ツール

 「1つの曲を放り込んだだけで、各キャリアの着うたフォーマットでデータを自動変換できたら便利なのではないか」──おとチェン♪はこんな思いから生まれたと、杉田氏は振り返る。「着うたの生成は、CDからWAVを切り出してボリューム調整をかけ、いったん聴けるフォーマットに変換して最後に著作権処理をかける。それぞれの過程で別々のツールを使い、それがキャリアごとに異なるため、生成に非常に時間がかかる」(杉田氏)

Photo ICT営業本部プラットフォーム営業統括部の川口葉子氏

 「繁雑な作業で人件費がかさむと、着うた/着うたフルのサイトを運営する上で最も重要な権利処理のコストを圧迫しかねない」──。こう話すのは川口氏だ。「データの作り込みの部分は、コンテンツプロバイダとしては一番コストを削減したいところ。そのため、あてている人材が少ない会社もあり、担当者が辞めたり倒れたりした場合に“後のノウハウを引き継ぐ人がいない”という事態も起こりうる。こうした点も考慮して、おとチェン♪は“一括生成で簡単に使えるASPツール”をコンセプトに開発を進めた」(川口氏)

 一連の変換は、WAVファイルや必要な画像、歌詞カードなどを一括してKCCSのサーバにアップロードし、システムの中にフォルダを作って一括変換するという流れで行う。「どんなフォーマットに対応するのか、どの端末に対応させるのか、ビットレートはどうするのか──といった変換の内容をフォルダに覚えさせ、そこに必要な楽曲ファイルやメタデータなどを入れて、フォルダごと一括変換をかけるという流れで作業を行える」(川口氏)

 おとチェン♪を利用することで、3キャリア向けデータの変換にかかる時間を85%削減できると川口氏。「キャリアのツールを使うと、各ファイルごとに3キャリア向けの作業を繰り返すことになるが、ASPを使うと1回で1曲を3キャリア向けに変換できるのに加え、10曲、100曲と一度にフォルダに放り込んで一括変換できる。これで作業がぐっと減る」(同)

Photo おとチェン♪の利用イメージと、従来の変換作業との工程比較

後発ならではのサービスを付加、着信設定情報の自動付加も

 おとチェン♪は、2006年7月からサービスを開始。同種のASPサービスとしては後発だったため、ソフトバンクとau向けの着うたフルデータの変換に対応するなど、新しい機能を盛り込んだ。

 KCCSならではといえるのが、auの着うた変換時に着信設定情報を自動で付加できる点だ。この機能はキャリアのツールにも用意されるが、別のツールを使う必要がある。おとチェン♪なら、1つチェックボックスにチェックを入れるだけで、自動的に着信設定情報が付加されるという。なお、ドコモとソフトバンク向けの着信設定情報付加については、オプションサービスの対応となる。

 料金体系は、生成したファイルの分量に合わせて支払う従量制を採用。川口氏は毎月、大量にデータを生成する大手企業だけでなく、“いざというときのために”登録したいと考える中・小規模メーカーにもアプローチしたいと話す。「今後はキャンペーンで着うたを配信するなど、プロモーション用途での利用も増えると予想される。公式コンテンツプロバイダ以外のニーズにも応えたい」(川口氏)

 杉田氏はASPでできるところは自動化して、浮いた手間やコストをサイトの差別化戦略に充ててほしいと話す。「着うたや着うたフルは、これからますます競争が激しくなる。データ作成の部分を効率化すれば、競争に勝てるサイトづくりにリソースを割り当てられる」

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