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韓国携帯事情:

さまざまな加入促進策や新サービスが登場──韓国のHSDPAサービス (2/2)

2007年03月08日 11時32分 更新
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HSDPAモデム内蔵のノートPCなど、携帯電話以外にも幅広く展開

 韓国では、HSDPA対応端末は携帯電話だけではない。SKTもKTFも、HSDPAモデムを内蔵したデバイスをいくつか販売している。

 SKTはSamsung電子と共同で、2006年にHSDPA対応UMPC「Q1B-HSDPA」とサブノートPC「Q40-HSDPA」を販売している。どちらもSKTのT LOGINに加入することでHSDPAによる通信が利用できる。

 Samsung電子の代理店に行けば、購入時にT LOGINの加入まで一括で済ませられるというサービスぶりは、両社の提携のたまものだ。

Photo Samsung電子の「Q1B-HSDPA」(黒い方)と「Q40-HSDPA」(白い方)。価格は前者が110万ウォン(約13万5000円)程度、後者が230万ウォン(約28万3000円)程度。

 一方KTFでは、LG電子と提携してHSDPAモデム内蔵のサブノートPC「A1シリーズ」を販売している。LG電子とKTFは2005年にCDMA2000 1x EV-DOモデムを内蔵したサブノートPCを販売したことがあるが、それ以来両社の提携は続いているようだ。LG電子では今後もこうしたラインアップの拡大に努めるという。

Photo LG電子の「A1シリーズ」。重さは約1キロと軽量だ

 ノートPCのほかにも両社では、ポータブルマルチメディアプレーヤーやデジタルカメラなど、さまざまなデバイスにHSDPAモデムを内蔵したモデルを販売していく予定だ。

HSDPAの利用を促進する数々のサービス

 韓国では、2月17日から19日までが旧暦の正月だ。この間は日本の正月同様、帰省する人が多くなり道路も渋滞が続く。こうした旧正月を狙ってSKTでは、2月15日から21日までの1週間、HSDPA加入者全員を対象に全国62の主要高速道路の映像をリアルタイムで配信する「VU交通情報」サービスを無料で提供し、HSDPAの利便性をアピールした。

 またKTFでは、携帯電話でPC用の検索サイトを利用できる「Mobile Web Surfing」サービスを開始した。同サービスで提供する専用ブラウザをダウンロードすれば、携帯電話でPC用のWebサイトを閲覧可能になる。このブラウザは携帯電話向けに、画像のみ表示/テキストのみ表示/拡大・縮小といった機能を備えている。

 韓国のPC用サイトはFlashや画像などを多用し、比較的重たいものが多いのだが、HSDPAの高速通信網を利用すればこうしたWebサイトでもあまり苦にすることなく閲覧できる。Mobile Web Surfingサービスは、とくにHSDPA加入者のみを対象とするものではないが、KTFではこうしたサービスを通じてHSDPA加入者を増やしていきたい考えのようだ。

勝負はこれからが本番

 KTFは1月に行われた記者会見で「HSDPAで、毎年2位の座を脱出し、1位を奪還したい」と宣言した。

 このときKTFでは設備投資に1兆ウォン(約1200億円)を投じる計画であるとともに、W-CDMA加入者も180万人にまで増やしたいとの目標を語った。2008年以降の設備投資額は約7000〜8000億ウォン(約860〜980億円)以下というから、今年は設備投資にかなりの額を割り当てていることが分かる。同時にSKTを抜いて1位にという同社の意気込みが見える。

 これに負けていられないのがSKTだ。当初SKTはHSDPAの全国網構築時期を2007年上半期中としていた。それが後に1カ月早まった5月となり、最近になってこれを3月に修正した。KTFには何としても負けられないという意気込みが感じられる。

 SKTの場合は2007年の設備投資費用として計1兆5500億ウォン(約1900億円)を見込んでいる。うちHSDPA関連には6100億ウォン(約750億円)が投資される予定だという。

 現在、実際に韓国の街を歩いていて、HSDPA対応の携帯電話で動画サービスなどを利用している人を見る機会はまだそれほど多くない。KTF、SKTとも2006年は“HSDPAサービスを開始する”ことにもっとも大きな意義を見出していたようで、サービス展開やユーザー確保に本腰を入れ始めたのは2007年からという状況だ。とくに3月の全国網構築以降は激しい戦いが予想され、それだけにHSDPAの知名度や利用率も伸びることが予想される。この頃には、先に出たようなHSDPA対応端末やユニークなサービスも、よりバラエティ豊かになっていることが見込まれる。

佐々木朋美

 プログラマーを経た後、雑誌、ネットなどでITを中心に執筆するライターに転身。現在、韓国はソウルにて活動中で、韓国に関する記事も多々。IT以外にも経済や女性誌関連記事も執筆するほか翻訳も行っている。


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