特集:そろそろ気になる? “ワイヤレス液晶TV”(レビュー編)
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製品名 | IDT-LF3 |
液晶パネル | 12.1型 |
モニターサイズ | 368×242×52mm |
重量(モニター) | 約2.2kg(付属バッテリ-を含む) |
入出力端子 | ベースステーション:アンテナ、ビデオ入力×2、ビデオ出力×1、RJ-11(電話)×1、10BASE-T×1、USB端子×1(プリンター用) モニター:メモリースティックスロット、ヘッドホン、PS/2(キーボード用)、USB端子×1(メモリーカードリーダー/ライター用) |
価格 | オープン(実売13万円前後) |
ワイヤレスTVとしての機能は、他の2製品とほぼ共通。無線部分にIEEE 802.11bを採用し、6MbpsのビットレートでMPEG-2映像を伝送する。ラインアップは12.1インチの1モデルだけとなり、主にインターネット接続機能のためにタッチパネル操作が可能なのも本製品だけだ。
今回取り上げた3製品の中では、間違いなくもっとも多機能だ。モニター部にはTV機能とともにブラウザとメール、画像ブラウザ機能を持ち、チューナー部(本製品ではベースステーションと呼ぶ)はPCの無線LAN親機(アクセスポイント)としても利用できる。無線部分がIEEE 802.11bであるメリットを、唯一活用した製品ともいえるだろう。
2世代目である「IDT-LF2」が初代機から大幅に改良した製品だったこともあり、LF3へのモデルチェンジにあたって大きな変化はみられない。ただ、さすがに初代機から3年にわたって改良が加えられてきただけあり、その完成度は高い。
画面サイズは12.1インチとパーソナルTVとしては十分なサイズ。モニター部の重量は2.2kgと、持ち上げてみると結構ずっしりと感じるが、背面に収容式のハンドルがあり、持ち運びは楽だ。そして、手を離せばハンドルは自動的に収容される。よくできた造りだ。
ベースステーションにはAV入力が2系統あり、ビデオデッキとDVDプレーヤーといったAVスタイルに合ったものだ。外部機器を操作するリモコン機能では、タッチパネルを活用し、それぞれの入力機器に適した操作画面を設定できる。つまり、画面上にビデオデッキやDVDプレイヤーなど、異なるリモコンの操作画面が登場するわけだ。モニター部自体が手元にある必要はあるものの、これも良くできた機能といえる。
液晶パネルは、今回取り上げた製品の中でもっとも高解像度な800×600ピクセル(SVGA)。もちろんインターネット端末としての利用を考慮したのだろうが、TVとしての解像感も高い。輝度も十分確保されているが、色合いは少々あっさりした印象を受ける。おそらくPC用の液晶パネルをベースにしているためと思われるが、視聴時に違和感を感じるほどではない。
ただし、PCユーザーがSVGAという解像度から想像するような、シャープな画面でもない。これはMPEG-2での無線伝送がネックになっているのだろう。今回取り上げた3製品中、唯一「無線部分が液晶パネルのスペックに負けているのでは?」と思った製品だ。
無線の伝送距離は見通し約30mとなっている。本製品とカシオ計算機の「XF-800/600」は電源コードもなく、外に持ち出すのが容易なので、ベースステーションを屋内の同じ位置に固定してモニター部を外に持ち出してみた。すると、エアボードの方が5m以上距離があっても正常にTV表示を行える。インタビューでも触れているが、ベースステーション側の改善により、実質の伝送距離をかなり延長したようだ。
ワイヤレスTVとしての弱点を挙げるなら、バッテリー駆動時間だろう。バックライトが最低照度でも約2時間、最大時で約1時間となっており、少々心もとない。充電には最短でも4.5時間必要だ。そのうえ、ベースステーションに載せてあっても、TV視聴中は充電されない。
ただし、ベースステーションとクレードルの両方でワンタッチの充電が可能だ。使わない時には、ベースステーションかクレードルに必ず載せておく、これがワイヤレス機能を有効に使うコツになるだろう。
本製品の持つインターネットアクセス機能は、Webブラウザとメール。モデムを内蔵し、単体でダイヤルアップ接続が可能だ。もちろん、LANポート(10BASE-T)でブロードバンド接続にも対応する。PPPoEもサポートしているため、PCを持たない人でも幅広いブロードバンド接続を利用できるだろう。
PCユーザーの中には、「SVGAでは窮屈なのでは?」と思う人も多いだろうが、本製品は最初から800×600ピクセルを想定した画面構成になっており、十分実用的だ。例えば、メールなら1度に27行もの表示が可能であり、長文メールも快適に読むことができる。
ブラウザは文字サイズを2段階に変更可能で、“小”に設定すれば、情報量も十分。フレーム表示はもちろん、FlashやJava Scriptにも対応しており、筆者が日常的にチェックしているニュースサイトなどは問題なく表示できた。ただし、インターネットバンキングなどはブラウザ自体をチェック(限定)している場合も多く、筆者の利用しているサービスも利用できなかった。この点は注意が必要だ。
実際にADSL接続でインターネットを利用してみたが、PCと比較するとWebの表示に多少の時間が掛かる。しかしブロードバンド接続なりの快適さは十分享受できるので、家電製品のブラウジング機能としては優秀な部類に入るだろう。
文字入力にも工夫がされている。エアボードは、ソニー製携帯電話でお馴染みの予測変換機能「POBox」を採用している。このおかげで、キー入力数自体を減らすことが可能で、タッチパネルを利用したソフトキーボードでも、文章入力はかなり快適だ。
基本的には付属のペンで操作するものだが、画面サイズのおかげでソフトキーボード入力を指で行うこともできる。モニター部を手元に引き寄せれば、両手を使ってPCライクに操作できるだろう。
PS/2キーボードも接続可能。この場合、POBoxは利用できないが、日本語変換機能として「ATOK」を採用しており、こちらも快適だ。ただ「USBポートも装備しているのに、なぜPS/2接続?」という疑問は残った。今時のコンパクトキーボードはUSB接続の方が多い。本製品にデスクトップ用のフルキーボードは似合わないと思うのだが……。
エアボードでは、ブラウザやメール機能を利用している間でも、ウインドウ表示でTVを視聴することができる。もちろんこれも便利なのだが、もっと便利そうなのがユーザー専用サイト「エアボードネット」で利用できる「airboテレビ」だ。
airboテレビでは、左側の大きなウインドウにTV、右側にリアルタイムの番組表が表示される。現在、どのチャンネルで、どんな番組をやっているのか、即座にわかる仕組みだ。さらに番組表の右のチャンネルボタンをクリックするとTVのチャンネルが切り替わる。インターネットアクセスとTVの融合をうまく活用した機能といえるだろう。
メール機能は、本体には1つのアカウントしか設定できない。ただし、メモリースティックを専用スロットに装着することでアカウントを追加できる。その場合、メールの保存場所もメモリースティック。家族一人ひとりがメモリースティックを持てば、プライバシーを確保したうえでエアボードを共用できる仕組みだ。
気になったのは“POP before SMTP”に対応していないこと。ADSLなどのブロードバンド接続ではPOP before SMTPがメール送信では必須になるISPもある。後継製品では、ぜひ改善を望みたい部分だ。
デジタルカメラ連携機能も強化されている。前モデルまではメモリースティックだけのサポートだったが、モニター部のUSBポートに対応メモリカードリーダー(ハギワラシスコム製)を接続することでコンパクトフラッシュ、SDカード、スマートメディアとほとんどメモリカードを扱える。アルバム機能では、画像を閲覧、簡単な編集ができ、主要メーカーのUSB接続プリンタ(ステーション側に接続)で印刷まで行える。
TV画面をメモ代わりにキャプチャーできるのも便利だ。キャプチャー画像はアルバムに取り込まれ、デジタルカメラの画像と同様、印刷もできる。
本製品はワイヤレスTVとしても魅力的だが、やはりワイヤレスインターネット端末でもあることが大きな魅力だ。これまでにもインターネット対応をうたった家電製品、いわゆるIT家電は多かったが、画面に表示できる情報量が少なかったり、文字入力が不便だったりと、少なくともPCユーザーの期待には応えられない製品が多かった。この点、エアボードは合格だ。
インターネット利用時でもTVをウインドウ表示できるし、便利な連携機能もある。“複合ハードウェア”をしっかり活用しており、いかにもソニーと思わせる製品だ。
唯一、「もったいないな」と感じたのは、自動メールチェック機能が1日最大3回に制限されていることと、TV視聴時には機能しない点だ。もう少し頻繁にメールチェックが行えれば、家中どこにいてもメールが届いたことがわかって便利だと思うのだが。
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[坪山博貴,ITmedia]
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