あなたは「テロメア」という言葉をきいたことがありますか? 染色体の末端に存在している構造体であり、ギリシア語で「末端」を意味するtelosと「部分」を意味するmerosから作られた語です。
私たちは、細胞分裂によって新しい細胞を作り、生命を維持しています。細胞が分裂すると染色体が同じようにコピーされますが、染色体の末端にあるテロメアだけはコピーされず、細胞が分裂するたびに徐々に短くなっていきます。
染色体がヒモだとすれば、テロメアはそれがほどけるのを防ぐ金具のようなものであり、テロメアが短くなると染色体は不安定になり、最終的に分裂をやめてしまいます。これが細胞の老化の仕組みです。
テロメアの長さには個人差があり、長いテロメアを持っている人は、短いテロメアを持っている人に比べて細胞分裂の限度回数が多いということになります。
このように、テロメアは細胞分裂の回数制限を決めていることから、「細胞分裂の回数券」「生命の回数券」などとも呼ばれています。そんなテロメアは、2009年のノーベル生理学・医学賞の研究テーマにもなっていました。
テロメアの長さが短くなることで分裂をしなくなる細胞は、私たちが年齢を重ねるにつれて増えていきます。老化した細胞が増えていくことで、私たち自身にも老化の兆候が出てくると言われています。例えば血管に老化した細胞が増加することで、動脈硬化の発生や進展に影響しているという論文もあります。
テロメアは老化だけではなく寿命にも関係しているとも言われており、長寿で知られる長野県高山村の村民は比較的長いテロメアを持っているというデータもあります。
日本では行われていませんが、海外ではテロメアの長さを測定することで個人の寿命を推測する「寿命検査」というサービスもあるようです。
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