この連載は西松眞子著、書籍『仕事ができる人はなぜハンカチを2枚持っているのか?――1秒で相手の心をつかむ「気くばり」の習慣』(日本実業出版社)から抜粋、再編集したものです。
・靴を磨くときは、靴底まで磨く
・“ありがとう”より“うれしい”を口にする
・こだわりは語らない
・着る服は名刺として選ぶ
仕事ができる人は、上司や取引先、同僚、部下など、接する相手にさりげなく好印象を与える達人だったりします。その秘訣は「ちょっとした気くばり」にあります。
あいさつの仕方、持つアイテムのちがい、会話のチョイス……。ほんの小さなことの積み重ねが、相手の信頼を勝ち取り、結果としてほかの人と差がつくものです。
本書では、イメージコンサルタントの第一人者としてこれまで数多くのエグゼクティブ層を指導してきた著者が、「ワンランク上の気くばり」の身につけ方を教えます。
少し面倒なことを、さっと相手にしてもらうと、誰でもうれしいものです。「気がきく」といわれている人は、雨の日に傘を人に手渡すときは、開いてから渡すことも、当たり前にしているかもしれません。
「傘を開いてから相手に渡す」ことについて、「何で、そこまでする必要があるのか?」と思う人は、もし誰かにそうされたらどう思うか、想像してみてください。手には荷物、外は雨がザアザア、傘を開くのが大変なときに、さっと傘を開いて渡してもらったら「タイミングがよくてありがたい!」と思いませんか?
こういうと、私自身がさぞ気がきいているように思えますが、そうではありません。だからこそ、このことを気付かせてもらえました。
ある雨の日のこと、細い路地で前から来た人とすれ違うときに、傘がぶつかり、相手の傘先が私の頭をかすめました。さらにそのうしろから来ていた車のドアミラーにもぶつかりそうになったのです。
細い道では傘と傘がぶつからないように、お互いに傘を斜めにして、道を譲って歩くものですが、前から来たのは二人連れで、傘を開いて横ならびになって歩いていたので、こちらが立ち止まって傘を斜めにしてもよけきれなかったのです。
天候とアクシデントでやや憂鬱になりましたが、その後友人たちと落ち合ったお店では、そのこともすっかり忘れて語らい、楽しい時間を過ごしていました。
では解散と、お店の玄関を出たところ、友人の1人が、傘立てにある私の傘を開いてから、微笑とともに「はいっ」と手渡してくれました。相手に傘を渡してあげるだけでも気がきいていますが、友人は私の手荷物を見て、大変だろうと、自然にそうしてくれたのです。
同じ日に「傘」にまつわるアクシデントがあったけれど、この「傘」は、気くばりのハプニングでした。このおかげで、曇りがちだった私の心まで明るく「開いて」もらったように、晴れやかでうれしくなりました。
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