持続可能な次世代都市の構築スマートシティ最前線(3/4 ページ)

» 2015年10月20日 10時20分 公開
[Strategy& ]
プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社

スマートシティの5つの要素

 スマートシティの一般的な設計はシームレスに相互接続された5つの要素により成り立っている(図表1参照)。

図表1 スマートシティの枠組みにおける5つの要素 図表1 スマートシティの枠組みにおける5つの要素

 都市についても建物についてもスマートシティの土台となる要素はインフラである。都市全域のインフラが自治体保有の資産を民間のインターネット・プロトコル(IP)上で連携する。この要素では都市のデジタルサービスを可能にするためのいわゆるビッグデータと呼ばれる大量のデータを通信処理できるデータセンターが必要である。

 一方、建物レベルのインフラは、建物の資産を都市のネットワークや他の建物とつなぐ役割を果たしている。このレベルはデータ通信量を管理し、複数のビルのデバイス間の中間切り替え機としての役割を果たし、幅広い都市インフラをつないでいる。これはネットワークを住宅や企業のオフィスに拡大するための鍵となる要素であり、建物の中のエネルギー、照明、水、および暖房・空調の使用状況を最適化する自動化サービスまで、幅広い拡張デジタルサービスを実現するものである。

 スマートシティの枠組みの中で最も重要な第2の要素はコンバージェンスである。これはさまざまなサービスにおけるデータとアプリケーションを集積し、連携させ、分析するものである。この集積と連携はサービス提供プラットフォームを経由して行われる。都市政府はこれを利用して都市全域の全てのサービス分野におけるユーザーに新たな相互運用デジタルサービスを展開することが可能となる(図表2参照)。

 また、スマートシティは通常、統合オペレーションセンター(IOC)を設立し、政府はここで複数産業からのデータを一元的にモニターし、生じ得る課題を効率的に管理することができる。

 例えばリオデジャネイロはIBMと提携しIOCを構築した。これにより市全体のデータをリアルタイムでモニターし、生じ得る問題の予測を行っている。IOCを推し進めるという判断は、2010年に発生した市の機能のほとんどを停止させた集中豪雨がきっかけとなった。この経験から中核都市行政圏であるリオデジャネイロ市は、あらゆる障害に対応する体制をより強化する必要があると認識したのである。

図表2 相互運用デジタルサービスの展開 図表2 相互運用デジタルサービスの展開

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