持続可能な次世代都市の構築スマートシティ最前線(4/4 ページ)

» 2015年10月20日 10時20分 公開
[Strategy& ]
プライスウォーターハウスクーパース・ストラテジー株式会社
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 スマートシティの枠組みの3つ目の要素はサービスにより構成される。サービスは、住民・訪問者の生活を向上させ、企業と政府機関のオペレーションを合理化させる付加価値をもたらす。例えば医療分野では、心血管疾患のある人の遠隔診断サービスを行うことができるだろう。また、交通の流れを最適化し、CO2排出量を削減することができるだろう。さらに教育分野では通信教育をはじめとするさまざまなサービスを提供することができる。

 4つ目の要素はさまざまなメディアを網羅するアクセスポイントで、これを通じてエンドユーザはサービスにアクセス・利用することができる。これらのメディアにはスマートカー、スマート家電、ウェアラブルデバイス、テレビ、スマートフォン、タブレットなどがある。Googleが先頃買収したNestはスマートサーモスタットや煙探知器を開発する企業であり、スマートホーム市場におけるシェアを拡大し獲得できる大量のデータから恩恵を受けることを目指したものである。この要素は今後より新しい技術が開発され、サービスアクセスポイントも増加するだろう。

 スマートシティの5つ目であり最後となる要素はエンドユーザ、つまりスマートシティサービスを提供する政府と、このサービスを利用する住民、訪問者、そして企業である。

 今後、スマートシティにおける事業機会は、ICTの成熟度の高まりによりさらなる広がりを見せるはずであり、こうした事業機会を念頭においた適切なサービス、ソリューションの構築が重要となってくるのではないだろうか。

“Building next-generation sustainable cities”, by Ramez T. Shehadi,Olaf Acker, Danny Karam, and Keirin K. Lee, Originally published by Booz & Company, February 21, 2014

著者/監訳プロフィール

オラフ・アッカー

Strategy& フランクフルト/ドバイオフィスのパートナー。情報通信・メディア・ハイテク分野のプラクティスメンバー。14年以上にわたり、欧州、北米、中東地域において、大規模なハイテクトランスフォーメーションなどを手がけてきた。


今井俊哉(いまい・としや)

Strategy& 東京オフィスの代表取締役。約25年にわたり、コンピューター、ITサービスプロバイダー、電子部品、自動車などのクライアントに、全社戦略、グローバル戦略、IT戦略等の立案や実行支援等のプロジェクトを多数手がけてきた。スマートシティに関する講義や講演活動なども行っている。


岡崎良(おかざき・りょう)

Strategy& 東京オフィスのマネージャー。製造業、消費財、金融などの企業に対し、全社戦略・事業戦略、事業評価・ビジネスデューディリジェンス、調達改善等のプロジェクトを行ってきた。

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