注目 タレントマネジメントを導入する企業

日本企業にも普及するのか? タレントマネジメントの今(5/5 ページ)

» 2015年11月20日 08時00分 公開
[井口裕右ITmedia]
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“人材の成長”から考える人材マネジメントを

――タレントマネジメントの考え方では上長の役割も大きく変わるということですね。

石原: ある部署のタレントマネジメントを例に取りましょう。上司の下に部下が5人いて、それぞれの能力も成長スピードもポテンシャルも違います。そこで上司が果たす役割は、5人それぞれに合わせて「この1年でどのような成長をするか」というプランを提供すること。「去年と同じことをやっていればいい」は通用しません。「お前には今年こういった成長をしてほしい」「去年成長できなかった部分はここだ」という着眼点から、その人材を成長させるためのミッションを課す。部署の目標達成をサポートしながら、同時に部下をどれだけ成長させることができるかが、上長には大きく難しい課題が課せられているのです。

 例えば、IBMでは18カ月以上同じ業務に携わっている人材で成長のための新たなミッションが見えてこないと、上司が人事部から怒られるそうです。こんな短い間隔での人材育成の実践は、日本企業にはなかなかできません。タレントマネジメントを実践する企業の人事部は、優秀な人材に対してもっと速いスピードでもっと成長のためのアクセルを踏んでほしいと思っているのです。

――これまで挙げていただいた課題を踏まえて、日本企業がタレントマネジメントを導入するために意識しなければならないことを教えてください。

石原: タレントマネジメントを世界中の全ての拠点の全ての部署で実践していければ、そこを最速で駆け上がってくる優秀な人材が必ずいるはず。そこで組織の垣根に縛られずに、企業の中枢で重要な役割を担う人材が必ず生まれてくるはずです。日本企業は、そういった優秀な人材が全世界のオフィスから本社の中枢までつながっているということをまだ理解できていないでいます。優秀な人材によって企業が大きく動くということを十分に理解していないのです。社員ひとりひとりの能力を理解し、彼らの能力に合わせた最速の成長をプランニングするという、“意識改革”をしていく必要があるのではないでしょうか。

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