「グローバル創業・雇用創出特区」として注目を集める福岡市。この福岡市が持つ強みが”アジアとの近さ”。大阪、東京、札幌といった日本の主要都市までの距離と、それぞれソウル、上海、台北までの距離がほぼ同じである。こうした地勢的な条件と交流の歴史から、福岡市は早くから「アジア」に関する施策を推進してきた。
そんな福岡市のアジアのゲートウェイとしての存在感が高まってきている。法務省入国管理局の出入国管理統計によると、博多港と福岡空港からの外国人入国者数は,2014年に初めて100万人を突破、過去最高の120万人に達した(福岡空港が前年比28.7%増、博多港が寄港地上陸許可を含め前年比46.3%増)。うちアジアからの入国者が9割以上を占めているのである。
そこで今回、「アジアのリーダー都市を目指す」ことを掲げている高島宗一郎 福岡市長に、福岡市の持つ強みや、現状の課題、今後の構想について聞いた。
――まず、アジアとの関係性についてはどのようにお考えですか。
高島: 京都より長い2000年の歴史を有する福岡市は、古来、アジア、世界との交流、外からの刺激によって発展を遂げてきました。およそ30年前に策定された基本構想では「活力あるアジアの拠点都市」という都市像を掲げ、全国でも最も早い時期からアジアを意識した政策を展開してきました。
アジアのゲートウェイという言われ方もしているわけですが、これまでのアジアのゲートウェイというのは、当時は発展途上にあったアジアに近いということだったんです。しかし、今やその意味合いは大きく変わりました。世界の成長エンジンになった、そのアジアに最も近い交流窓口が福岡市だということです。
LCC(格安航空会社)などの航空路線や外国航路も充実しており、交流人口も右肩上がりで増えています。また、力を入れているスタートアップについても、例えば、台湾でも開催された「明星和楽」など、いろいろなイベントを通じて福岡のベンチャー企業とアジア、世界のベンチャーとのネットワークが生まれてきています。この福岡の地をアジアと日本が交わる結節点、アジアとのコラボレーションが生まれる場所にしていきたいと思っていますし、それこそが、アジアの玄関口として他都市との大きな差別化につながると考えています。
――日本国内でも、福岡へ移住されてくる方や進出してくる企業が増えているようです。
高島: 今、ICTの発展によって、どこで、どんな仕事をして、どう生きていくのか、個人が意志を持って選べる時代になってきています。そんな中、福岡市は充実した都市機能と豊かな自然環境が共存し、都会と田舎の両面を併せ持つ場所ですから、休日はリフレッシュできる環境がすぐ近くにありながら、ビジネスでも勝負できる場所として注目を集めています。
企業にとっては豊富な人材がそろっていることも大きな魅力です。15歳から29歳の若者が人口に占める割合が政令指定都市で一番高くて、理工系の学校も多く、大学生の割合も京都に次いで2番目なんです。グローバル創業・雇用創出特区でありチャレンジしやすい環境が整ってきていることや、オフィス賃料をはじめ、ビジネスコストが東京などと比較して格段に安いし、自然災害のリスクも極めて低い。そうしたことが福岡への進出につながっているんだと思います。
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