第1回:自ら上場させた会社を辞め、2度目の起業を決意するまで
第2回:再び自宅で起業、2回目の挑戦だからこそのこだわりとは?
第4回:私の慢心を打ち砕いたベンチャーコンテスト LaunchPadへの挑戦
この連載でも何度かお話ししたように、私は26歳のときに起業した。平凡な家庭に育ち、取り立てて目立った資格も、キラキラした経歴もなく、たった3年の会社員経験しかないのに、今思うと、無謀にも独立してしまったわけだ。
2000年、自宅の一室から、右も左も分からないまま、たった一人のスタート。
紆余曲折がありながらも、何とか約16年間、社長としてやり続けてこられたのは、ひとえに、周囲の人に支えられ、運にも恵まれたことが大きかったと感謝している。これから先の挑戦は大きく、2回目の起業では結果も出していないが、これからの山の方が高いからこそやりがいもあるのだ。
まだまだ未熟ではあるが、今回は、経営者としてこれまで大切にしてきたことを7つにまとめてみよう。
「求められることの先にチャンスがある」
初めて起業したとき、仕事も知名度もほとんどゼロだった。いわば、何もないところからのスタートである。特に私の場合は、フリーのコンサルタントとして独立したので、ビジネスモデルがあったわけでもない。そのときのほとんどが、人からの紹介でいただく仕事だった。
仕事を選ぶことなく、いただいた仕事をすべてチャンスととらえて、期待以上の成果を上げるように努力した。新会社の立ち上げ、競合比較調査、商品改善アドバイス……。案件ごとに関連しそうな本を10冊以上読み込んで、にわかではあるものの知識を積み込んでいった。
そのとき多くの方に依頼された内容が「女性に商品を広めるにはどうしたらいいの?」「女性向けの商品はどんなものがいいかな?」など、「女性」をテーマにしたものに集約されていることが分かり、F1層(20〜34歳の女性)に特化したマーケティングを思い付いたのである。それが前の会社のスタートだった。
前職を退任し、再びゼロに戻ったとき、当然、社長業という仕事はなくなった。
そんな折、女性ファッション誌「DRESS」の編集長にコラムの執筆依頼をいただいた。今までコラムなんて書いたことがなかったし、自信がなかったけど、1本の原稿にかなりの時間をさいて一生懸命書き始めたら、予想以上の反響をいただいた(関連リンク)。また、テレビの仕事は前より時間をかけて準備し、コメントを工夫するようにしたら、ほかの番組からもお声掛けをいただいた。さらには、前職で一緒に働いていたはあちゅうと一緒にオンラインサロンをやってみようかという話になって、さっそくスタートしたら1週間で400人のメンバーが集まった。飲食会社の顧問や、ノジマの社外取締役を依頼されたのもこのころだった。
もちろん、幅広く活動することで「この人の本業は何?」と思われたりすることもあるが、時間があれば、悩んだり選んだりすることなく、求められることに期待以上の努力で応え、誰かに喜んでいただけるようにしている。何か新しいことに挑戦すること自体が自分の幅を広げ、成長につながるからだ。そして、それが、幸運や新たなチャンスを呼び込む始まりになるのかもしれない。
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