「自分でできることには限界があるが、皆とやることには限界はない」
「お客さまに提供できるサービスに限界はない」
新卒で入社した会社では、何事も納得するまで理解しないと前に進めないタイプで、質問、相談マニアだった。自分の中に違和感がある企画書は、そのままお客さまのところには持っていけない性格で、日曜日の夕方に上司に電話してあきれられているほどだった。
ただ、起業してからのほうが、幅広い範囲でクオリティーや結果にこだわらないと生き残れないと痛感している。だから「常にプロに相談する」「自分より優秀な人の助けをかりる」ことを大切にしている。
それにはいくつか視点がある。まずは「自分の方向性や意思を明確にしておくこと」だ。
決断はトップにしかできないし、方向性でぐらぐらしてたり、意思決定を他人にゆだねるような社長は信用されない。従って、相談する際にはできるだけ具体的にして持っていくようにしている。
例えば、前職で上場を目指していたとき、資金調達まではうまくいったが、その資金で採用者数を増やし、アクセルを踏んだ途端、会社は混乱し始めた。私の能力不足に尽きるのだが、それでも「上場したい」という決意は固かった。
そこで、ある上場企業の社長に相談に行き、状況を正直に話すと、「分かった。今から言う3つのことをやれ」と言われた。
「まず、経営幹部を探して、人材が育つ会社にしろ」
「営業部隊を作って、計画的に数字が上がる組織にしろ」
「男女比率を変えろ」(当時トレンダーズは9割が女性の会社だった)
それまで社長である私一人がマネジメントしていたことが限界だったと分かり、そこから半年かけてアドバイス通りに実行し、上場の足がかりをつかんだ。
一方で、相談に乗ってもらえる人間でいようとも心掛けている。そのためには「相手の時間は相手の命である」という意識を忘れないこと。もちろん、できるだけ相手がメリットに感じるような自分、お互いが支え合う関係を最終的には目指すのだが、相手が偉大過ぎてすぐにはメリットを差し出せない場合もある。
そのようなときは、いただいたアドバイスを実行し、結果を出すこと。そして、随時、事後報告して、感謝を伝え続けていくことにしている。ちゃんとビフォー・アフターで変化し、「相談の乗りがいのあるやつ」になれば、心意気のある経営者が応えてくれるようになるだろう。また同時に、後輩の相談にはできるだけ乗るようにしている。そうやって経営者同士、起業家同士の助け合いの循環に貢献できるように意識している。
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