経営者と経営学者の違い、B'zとAKBの違い(3/3 ページ)

» 2015年12月17日 11時15分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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経営学者は経営の専門家ではない

 経営学者が社外取締役などに就く例はあると思いますが、経営学者と経営者は違います。論争の一人、一橋大学の楠木教授も述べているように、経営学者と経営者は役割が違うのです。経営をすることと、経営学を極めることは別物です。動物的なカンや偶然による成功も、経営において時には必要だったり、そのおかげで危機を乗り越えたということもあり得るでしょう。

 しかし経営学は「学問」です。学問として成り立つだけの信頼できるソースによる裏付けと、論理的整合性を持った論文を書けることは学者としては最低限必要であり、教授職にまで至る以上、そうした研究能力こそが欠かせない資質になります。一部の有名人以外、普通で教授になれることはありません。論争に一時加わった一橋大の佐山教授は、自身が投資ファンドの社長=経営者であり、非常に例外的存在だといえます。ただし経営といっても事業経営者と投資ファンド経営者ではかなりその役割は異なりますが。

 いずれにしても経営学者が経営の専門家でない以上、その発言も学問的領域での価値判断であって、実際の経営的な精度を持つとはいえません。逆に事業経営者は常に論理的整合性やソースの分析を行う仕事ではありませんから、ヤマ勘で当たることもあり得ます。それも含め経営の成功に数えられるでしょう。やはり評価軸となる基準をしっかりと持つことが重要です。他人が決めた評価を鵜呑(うの)みにする、リテラシーのなさは、どんなことであってもインテリジェンスがない行為だといえます。(増沢隆太)

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