オバマ大統領が新法案にサイン 宇宙資源開発・利用ビジネスは加速するか?宇宙ビジネスの新潮流(1/3 ページ)

» 2015年12月25日 09時32分 公開

 いよいよ2015年も終わりに差し掛かったところにきて、今、宇宙に関する話題が日本の人たちを熱狂させている。

12月4日13時09分(日本時間)に「はやぶさ2」から撮影された地球(出典:JAXA) 12月4日13時09分(日本時間)に「はやぶさ2」から撮影された地球(出典:JAXA)

 12月14日、小惑星探査機「はやぶさ2」が地球の重力を使った加速と軌道変更を行うスイングバイに成功し、小惑星「リュウグウ」に向かったことが大きなニュースになった。さらに今月は、映画「スター・ウォーズ」の最新作「フォースの覚醒」が公開され、テレビドラマ「下町ロケット」が最終回を迎えるなど、日本では宇宙コンテンツが活気付いている。

 他方で、同じころ地球の裏側の米国では、今後の宇宙産業に大きく影響する法案にオバマ大統領がサインしたことをご存じだろうか。11月25日に署名された法案は「U.S. Commercial Space Launch Competitiveness Act」(通称:宇宙法)。商業宇宙産業の発展を目指し、「商業宇宙打ち上げ」「商業リモートセンシング」「宇宙商務局」「宇宙資源探査およびその利用」の4章で構成されている。注目は第4章だ。

米国企業による宇宙資源探査と利用を認める

 宇宙資源探査およびその利用に関しては、本コラムでも以前ご紹介したように、2014年7月、「American Space Technology for Exploring Resource Opportunities in Deep Space(ASTEROIDS)Act of 2014」(通称:アステロイド法)が共和党・民主党の超党派で下院に提出された(関連記事)。しかし、その後の審議がストップした状態であった。今回衣替えされる形で再提出され、大統領署名を受けたわけである。

 今回の法が対象としている資源の1つは、“Asteroid resource”であり、その定義は“a space resource found on or within a single asteroid”と、小惑星上で見つかった資源を指している。そしてもう1つが“Space Resource”である。 “an abiotic resource in situ in outer space”“includes water and minerals”と記載されており、宇宙空間での水や鉱物などの非生物資源を指している。

 そして、宇宙資源に関する権利“Asteroid resource and space resource rights”が記載されており、国際法上果たすべき義務と整合する形で、米国市民・米国法人が獲得した宇宙資源の所有、輸送、利用、販売の資格を有することができるとされている。(原文:“A United States citizen engaged in commercial recovery of an asteroid resource or a space resource under this chapter shall be entitled to any asteroid resource or space resource obtained, including to possess, own, transport, use, and sell the asteroid resource or space resource obtained)

 また、大統領を含めて政府がこの権利を積極的に促進していくことや、経済的にも存続可能で安全な産業を作るために障害を取り除いていくことも記載されている。

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