こうした動きに対して、民間の資源探査各社は歓迎をしている。特にスタートアップ企業側からは、「宇宙の商業開発はもはやSFでないにもかかわらず、その現実性に対する誤解が多く、特に資金調達面で苦労している。同法案はその誤解を解くものになると期待したい」とのコメントが相次いだ。
12月1日には、今回の法成立を受けて、「同法が米国宇宙産業および米国社会全体に与える影響について」議論するGoogle+ハングアウトが行われ、ホワイトハウス科学技術政策局のトム・カリル氏、小惑星資源探査ベンチャー・米Planetary Resources バイスプレジデントのピーター・マルケス氏や月面探査を目指す米Moon Expressのボブ・リチャードCEOなどが参加して議論を交わした。
その中では、法成立が民間宇宙ビジネスの予見可能性を高めて産業への投資加速が期待されること、諸外国において今後同様の法案成立の余地があるか注視すべきこと、成立に際してPlanetary Resourcesなどがポリシーメーカーと密に連携をとったことが言及された。なおPlanetary Resourcesは法成立の約1カ月前の10月に1200万ドルの資金調達を発表していることも興味深い。
他方、今回米国の国内法で規定された内容が、1967年に国連で決議・発効された宇宙条約に反するのではないかという声も上がっている。例えば、宇宙条約の第2条では、「月やそのほかの天体を含む宇宙空間は、主権の主張、使用もしくは占拠、またはそのほかのいかなる手段によっても国家による取得の対象とはならない」とされている。当時は民間企業による資源探査活動などは想定されていなかった時代でもあり、解釈が有識者の間でも分かれているのが現状だ。
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