NISAはお勧めできない? 意外と知らないNISAの落し穴3分で読める 荻原博子の今さら聞けないお金の話(1/2 ページ)

» 2016年01月08日 08時00分 公開
[荻原博子ITmedia]

荻原博子の著者プロフィール:

 大学卒業後、経済評論家の亀岡太郎氏に師事。亀岡太郎取材班で、日刊ゲンダイ、大阪新聞、月刊セールス(ダイヤモンド社)などのビジネス記事を担当。

 その後、フリーの経済ジャーナリストとして独立し、マガジンハウスなどで主に家計とビジネスに関する記事の連載を手掛けた。

 現在は書籍の執筆や雑誌への寄稿を行う傍ら、テレビ番組のコメンテーター、解説者としても活動している。


3分で読める 荻原博子の今さら聞けないお金の話:

 「え、そうだったの!?」

 年金、医療保険、介護保険、教育費、投資。私たちの生活に密接な制度や仕組みについて、きちんと理解していますか?

 本連載では、いま話題になっているけど今さら聞けない、身近なお金に関する仕組みや制度のことを経済ジャーナリストの荻原博子が分かりやすく1から解説していきます。


 NISA(少額投資非課税制度・ニーサ)が人気です。NISA口座では、投資で利益を上げても非課税になるからです。

 通常の口座で株取引をすると、利益がでたらその利益に対して20.31%(所得税+復興特別所得税)の税金がかかります。例えば、NISA口座で100万円の株を買い、150万円に値上がりしたとします。この値上がりした利益に対して、通常の口座なら10万1575円の税金を支払わなくてはなりませんが、NISA口座なら税金を支払う必要がないので、まるまる手取りになります。

 このNISA口座の預け入れ限度額は100万円でしたが、2016年から120万円に拡大されました。年間で120万円までならNISA口座で株や投資信託などの投資商品を購入できるというわけです。

 また、このNISAに、2016年から新たに子ども向けのNISA、「ジュニアNISA」が新設されました。未成年者の名義でNISA口座を開設して親などが代理で運用するもので、口座は1月から開設できるようになっており、運用は4月から行えます。

ジュニアNISAは何が違うの?

 ジュニアNISAが従来のNISAと違うところは、まず、利用できる年齢。2016年1月1日時点で19歳以下が対象です。次に投資の年間限度額。従来のNISAは(2016年から)120万円ですが、ジュニアNISAは年間80万円までの利用となっています。

 さらに、ジュニアNISAでは、金融機関の変更が原則できません。金融機関によって取り扱う金融商品が違いますから、もしジュニアNISAを始めるなら、金融機関選びは慎重に行いましょう。

 また、ジュニアNISAには資産の引き出し時期に制限があります。口座の名義人が18歳未満だと払い出しできず、払い出す場合には全解約となって、過去に享受した利益に対して課税されます。NISA制度は期間限定であり、非課税での投資は2023年までと決まっていますが、それ以降も引き出し期限までは口座に保管され、現金を手にすることはできません。

 この「18歳まで引き出せない」仕組みが子どもの教育資金作りに向いていると、さまざまな金融機関が宣伝しています。「孫のために」援助したい祖父母にも、大いにアピールしているようです。加えて、「今、口座開設すれば売買手数料○%引き」や、「けが、入院の保障を無料付帯」など、特典合戦も見られます。

 では、投資を考えている人はNISAやジュニアNISAを始めるべきでしょうか。いえ、まずはNISAについてもっとよく知りましょう。NISA口座は良い面ばかりではありません……。

photo (出典:SMBC日興証券)
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