「ウチは特殊だ」が変革を阻む(2/2 ページ)

» 2016年02月02日 06時00分 公開
[川口雅裕INSIGHT NOW!]
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 必要なのは「他業界や他社」と「自社」の共通点に目を向けることです。以前、ある有名ホテルの婚礼営業部の方から「ウチの営業担当者にマンション営業のノウハウを吸収させたい」という話がありました。聞いた瞬間は「?」と思いましたが、曰く、

  1. 契約してから実施(入居)までの期間が長く、その間の顧客フォローが大切である。
  2. 一旦決めていただき、その後にオプションの提案をしながら価格を上げていくという手法が同じである。
  3. 立地といういかんともしがたい点を、いかにしてカバーするか、納得してもらうかがポイントである。
  4. リピート客が想定できないので、口コミと紹介をいかに増やすかが大切だ。

 といった点が共通しているので、あえて他業界からそのノウハウを学びたいということでした。

 こうやって共通点に焦点を当てると、自社や業界内にはなかった気付きや発見が生まれる可能性があります。自分たちがやっていることの妥当性やレベルをチェックする機会にもなるでしょうし、そこから工夫やひねり、新手法が出るかもしれません。「特殊だ」と思いこんで内にこもり、こうした視点や刺激を得ることがないと、これまでやってきたことを徹底する、マニュアル化するという方向にしか思いが至らなくなります。「特殊でないこと」は必ずあるはずなのに、「特殊だ」と思い込む(共通点に目を向けない)ことによって、進歩・進化するチャンスを失っている会社は少なくないように思います。

 例えば、ビジネススキルを学んでいる社員に対して「ウチの業界ではちょっと使えないなあ」「ウチのお客さんには通用しないだろうなあ」などと言って、その学びを否定してしまっていないか? 他の業界にいる人達との交流で何かを吸収してきた社員の人に、「それは、その業界だからやれていることだろう」と言っていないか? ということです。

 一方で、差別化だ、他社と違うことを考えろというのは無理・矛盾というもので、そのような要望をするのであれば「ウチは特殊だ」と思わず、自ら他業界や他社との共通点に目を向け、積極的にそれを吸収していかねばなりません。(川口雅裕)

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