日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
「4月なんて社内を見てまわるくらいで、この仕事が合うとか合わないとかいう段階の話ではない。そこで退職代行を使うって、世の中をナメすぎ」
「辞めるのは本人の勝手だけど、そんなに早く会社を辞める人間なんて、会社側からすれば絶対に採用したくない。こういう人たちが、かなりの割合で非正規雇用になるのではないか」
厳しい競争社会をサバイブしてきた大人たちが、ネットやSNSで「無責任な若者」に容赦なくダメ出しをして、盛り上がっている。この春から社会人となった新入社員が早々に退職を申し出たことを受け、都内にある退職代行サービスにも4月1日から3日までの3日間で、新入社員からの依頼が11件あったというニュースが報じられたからだ。
ご存じのように、最近は若者がすぐに会社を辞めてしまう問題がたびたび報じられる。その理由としてよく言われるのが、映画やドラマを早送りで楽しむ「倍速視聴」に象徴される「タイパ・コスパ至上主義」だ。
Z世代を中心に「効率・時短・高満足度」を重視する風潮があり、それが、売り手市場の新卒就職活動や働き方に影響を与えて「合わない職場」や「嫌な仕事」にしがみつくことは「時間の無駄」「人生の浪費」としてサクッと見切りをつけるというのだ。
そんな「若者の倍速退社」というトレンドを耳にすると、「これだから最近の若者は。そもそもオレのときは就職氷河期で……」と、自分が新人時代にいかに苦労してきたのかという自慢話を披露したくなる“昭和のおじさん世代”も多いだろう。
だが、新世代の未熟さを攻撃して、旧世代がマウントを取って悦に入るという現象は、古代ギリシア時代でも確認されている人類社会の宿痾(しゅくあ)ともいえる現象だ。そのせいで問題の本質を分からなくさせてしまっている可能性がある。
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