日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
「あれ? ちょっと前に観光業が大打撃だみたいなニュースが流れてなかったっけ?」「どっちを信じりゃいいんだよ、メディアってホントいい加減だな」
そんな文句がSNS上にあふれている。中国政府による「日本観光自粛」の呼びかけによって「観光業が打撃を受けていて、2026年の旧正月が怖い」というニュースが流れる一方で、「影響は限定的でむしろ観光公害が緩和されて業界的には新たなビジネスチャンス」という真逆のニュースも流れているからだ。
前者の典型例は、11月23日配信の『ABEMA TIMES』のニュースだ。
このニュースでは観光業界だけではなく、貿易の中国依存がG7の中で日本が飛び抜けて高いことから、日本経済に大きな影響があると伝えている。一方で後者の代表はどんなものかというと、『産経新聞』が11月30日に配信したこちらの記事だ。
この記事に登場する観光業者は、悲鳴を上げるどころか「売り上げはほとんど変わらない」「危機感はない」と、中国人観光客の減少などまったく意に介していないのである。
同じ経済問題を取材して報道しているにもかかわらず、なぜ180度異なる報道になるのか。
「それは中国にこびる偏向マスゴミのせいだ!」という怒りの声が聞こえてきそうだが、メディアの世界で長く働いてきた経験から言わせていただくと、そういうイデオロギー的な問題よりもニュースをつくり出す側のシステムエラー的なことのほうが大きい。
そのエラーとは何かというと、経済分野に限らず、あらゆるニュース報道というものが、多くの人たちに伝えようとすればするほど「ポジショントーク」になってしまうのだ。
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