一体どういうことか、今回のニュースを例に説明しよう。まずABEMA TIMESの「観光業にダメージ」報道が何を根拠にしているかというと、大阪・神戸などで和牛食べ放題の焼肉店や寿司店を展開している「あじびるグループ」代表・本岡玲二氏が「ちょっと勘弁してほしい」など影響の大きさを語った点だ。
この「大阪・神戸」の状況を紹介するのが、このニュースの最大のポイントだ。というのも、これらのエリアは他の観光地と比べても「中国依存度」が高いからだ。大阪観光局によれば、2025年1月から10月までに大阪を訪れた中国人観光客は計464万人で、国別で最も多くなっている。
神戸も「中国依存度」が高い。神戸観光局によると、2024年の訪日外国人観光客は過去最多95万人で、そのうち約3割が中国からだという。
こうした状況の地域で、中国人が好きな和牛や寿司の店を経営している人たちにマイクを向ければ、「影響が大きい」「高市首相にはもうちょっと考えてほしい」となるのは当然だ。ただ、だからといってそれは「全国の観光業者の思い」を代弁したものではない。中国人観光客が大のお得意様という観光地もあれば、韓国人観光客や台湾人観光客のほうが多いエリアもあるし、米国や欧州からの観光客が多く訪れる地域もあるからだ。
この構造は、産経新聞報道にもそのまま当てはまる。「中国人観光客が減っても影響は限定的」というニュースの根拠は何かというと、東京・浅草の観光業にかかわる人々への聞き取りだ。人力車夫、人気スイーツ店、ホテル支配人たちが口をそろえて、こんなことをおっしゃっているのだ。
中国人観光客は目に見えて減少したが、インバウンド客の中心は米国や豪州からで、「危機感はない」と言い切る
「そうそう、中国人観光客が消えても日本は世界的に人気だから他の国からの観光客が来るだろ」という人たちにとっては、留飲の下がる“理想的なニュース”だろうが、これにもカラクリがある。
実は東京・浅草というのは、日本全国の観光地の中でも特に「外国人観光客の多様化」が進んでいるレアケースだ。つまり、「全国の観光業者」を俯瞰(ふかん)すれば、「中国人観光客が減っても他の国の客が増えるので問題ナシ!」と大きく構えられる人々は、ほんの一握りに過ぎないのだ。
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