やっぱり、すぐ辞める新人は世の中をナメているのか 「倍速退社」の背景にある企業の病スピン経済の歩き方(6/6 ページ)

» 2026年04月08日 08時00分 公開
[窪田順生ITmedia]
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「精度が低い」といわれている面接を続けるワケ

 さて、このような企業側の採用システムの問題点を指摘すると、「なぜ精度が低いといわれている面接を日本ではずっと続けているのだろう」と不思議に感じる人も多いだろうが、これは簡単に説明できる。

 ビジネスパーソンであれば分かるように、日本企業は前例踏襲で、減点主義がデフォルトだからだ。社長も役員も部長も、みんな面接を経験して会社に入った。入社10年目の社員も昨年入社の社員も、みな面接で「私の面接のときの面接官は部長でした」といった、ウェットな人間関係もある。

 そんな、これまで当たり前のように続けてきたことを、急にやめるのは難しい。これまでと異なる選考方法にして、何か問題が起きたときに誰が責任を取るのかという、組織内ではおなじみのややこしい問題がある。

変われない日本企業(出典:ゲッティイメージズ)

 「精度が低い」といわれても、組織内にいる全員がその精度の低い選考方法で採用された人間なので、自分たちを否定することにもなってしまう。そうした面倒な問題に直面した組織が「思考停止」や「前例踏襲」に陥るというのは、さまざまな企業不祥事が証明している。

 「退職代行サービスなんか使ってすぐに会社を辞める最近の若者は、ロクな大人にならない」ということを声高に叫ぶおじさんがいる。50代の筆者も心情的にはよく分かるが、実はこの世代も若いときは上の世代から「新人類」「ロスジェネ」などと呼ばれ、眉をひそめられていた。就職しないでバイトをする「フリーター」が日本経済を崩壊させると叩かれたこともある。「最近の若者は……」は誰もが経験してきた、いつか来た道なのだ。

 あれもこれもと若者だけを「悪者」にして調子に乗っていると、このような「反論」を受ける日も近いのではないか。

 「精度の低い面接試験をやめられず、採用ミスマッチを改善できない、おじさん社員が牛耳る会社に未来などない」

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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