こういう「フィーリング採用」が若者の「倍速退社」を引き起こしている側面もある。社会人ならば身に染みて感じているだろうが、対策マニュアルを読み込んで、面接官とうまくコミュニケーションを取って、その場で好印象を与えるスキルと、実際の仕事で上司や同僚とコミュニケーションを取って結果を出すスキルはまったく「別物」だ。業種によっては、かすりもしない。
だから、「フィーリング採用」で入社した若者は、実際に職場に配属された後や、試用期間中に「これは間違いだった」と気付いて、さっさと見切りをつけるというわけだ。
それは、入社して早々に退社を申し出る新人の退職理由からもうかがえる。冒頭で取り上げたニュースに登場する退職代行サービス「ガーディアン」によると、「傾向としては、労働環境の条件の相違によるミスマッチが圧倒的に多い」という。
先ほど紹介した「採用ミスマッチ」に関する調査で、この問題が表面化するタイミングについても質問しているが、最も多かったのは「試用期間中」(28.6%)である。
4月に入社した若者が退社を申し出たと聞くと、われわれは若者側が非常識で根気がないとして批判の矛先を向けがちだ。だがその背景には、労働条件などのすり合わせができていないまま働かせてしまうという「採用ミスマッチ」の問題がある。その根っこにはその場のフィーリングで人を採用する企業側の「面接偏重主義」があるのだ。
ミスマッチを感じた若者の中には「どうせ辞めるのなら早いほうがいい」と考え、あっさり辞める。しかも、今は「終身雇用」というシステムも崩壊している。「なんか聞いていた話と違うな」と首をかしげながら1年、3年と働き続けるくらいならば、早期にリセットして、自分のやりたい仕事に就いて、組織に依存しない生き方をしようと考える若者がいるのも極めて自然な現象なのだ。
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