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» 2016年03月24日 06時54分 公開

米国水族館の「シャチのショー廃止」を日本企業が注目すべき理由世界を読み解くニュース・サロン(2/5 ページ)

[山田敏弘,ITmedia]

シーワールドの利益は激減

 ビジネス的なダメージは甚大だった。ドキュメンタリーが公表されてからシーワールドの来場者数は激減し、運営会社の株価は50%以上下落。これは14億ドル(約1569億円)の損出を意味した。2015年にはチケット料金を引き下げたり、1000万ドル(約11億円)ほどを費やしてテーマパークの安全性を訴えるのキャンペーンを行ったりもしたが、効果は上がらず、前年より利益が80%減ったとも報じられている。

 皮肉なことに、今回のシャチ繁殖中止のニュースを受けて、同社の株価はすぐに6%上がった。

 こうした動物愛護精神の潮流は、別の業界にも波及している。その1つが、映像業界だ。

 例えば2012年には、米人気ケーブルテレビ局HBOが米俳優ダスティン・ホフマン主演のオリジナルドラマ『Luck』の撮影で馬が2頭死んだことを動物愛護団体から非難され、結局、シリーズ終了を余儀なくされた。また映画『ファインディング・ニモ』の続編で、2016年6月(日本では7月)に公開予定のアニメーション映画『ファインディング・ドリー』では、もともと登場する海洋哺乳類のキャラクターがシーワールドのような施設に送られるというエンディングだったのだが、『Blackfish』を見た制作会社幹部が、動物愛護の観点からエンディングを急きょ変更させたと報じられている。

 こうした流れは一般の企業にも押し寄せている。メルセデス・ベンツは動物愛護団体の批判によって、一部モデルでシートに革を使うのを止めると発表。IKEAは店内のレストランで動物関連食品を使わないミートボールを提供することになった。大手アパレルのラルフローレンやアバクロンビー&フィッチ、H&Mなどは毛皮商品の扱いを中止し、GAPや、アディダスやプーマなどほとんどの大手アパレル企業が、動物愛護活動によってアンゴラウサギの毛の商品を発売停止にしている。

 食品分野でも、マクドナルドやネスレが、ケージに入れないで飼育される鶏の卵を使うと発表している。動物愛護団体からケージに入れて飼育するのは虐待だとの批判があるからだ。現在、食品などビジネスに動物が関連する米企業の50%以上が、動物愛護的な非難を避けるために、取引する家畜についての指針を発表するようになっている。3年前に指針を発表していた企業は全体の25%ほどに過ぎなかった。

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