LINEに何が? 「LINE POP」のアイテムめぐる報道に反論 「供託金逃れをした事実は一切ない」

» 2016年04月06日 11時19分 公開
[ITmedia]
photo 2012年11月にリリースされた「LINE POP」

 LINEが運営しているスマートフォン向けゲームのアイテムが、資金決済法の規制を受けるゲーム内通貨に当たる可能性があり、関東財務局が立ち入り検査した──という一部報道に対し、LINEは4月6日、「立ち入り検査は定期的なものであり、供託金を逃れようとした事実は一切ない」という反論を公表した。近く株式上場するともうわさされるLINEに何があったのか──。

 毎日新聞の6日付報道によると、問題になったのはスマホゲーム「LINE POP」に登場するアイテム「宝箱の鍵」。資金決済法は、プリペイド型ゲーム内通貨を「前払式支払手段」と定義しており、未使用残高が1000万円を超える場合は半額を供託する義務がある。

 同アイテムは、ゲーム内に登場する「宝箱」を開けるものとして設定されており、友達の招待などでもらえるほか、ゲーム内通貨「ルビー」を使って購入することもできる。だが使用数に応じてゲームを先に進めることなども可能だったため、同アイテムが実質的にゲーム内通貨として機能しており、「前払式支払手段」に当たるのでは──という声が昨年、社内から上がったという。

 同アイテムの未使用残高は当時約230億円に上っていため、多額の供託金が必要になる可能性があったが、7月に同アイテムの用途を制限する仕様変更を実施し、回避した──という。

 毎日新聞の報道には「多額の供託金を逃れるため、仕様変更で疑惑を覆い隠した」という同社関係者のコメントも掲載されている。関東財務局は同法に基づき検査し、分析を進めているという。

「資金決済法の基準が不明確」

 LINEは6日午前、報道に対する反論を公式サイトに掲載した。「同法の規制の適用を意図的に逃れ、供託を逃れようとしたかのような報道があったが、そのような事実は一切ない」という。関東財務局の立ち入り検査も、前払式支払手段の発行者に対して数年に一度定期的に行われているもので、同アイテムについて必要な届出をしなかったという疑いに起因するものではない、と否定している。

photo LINEが掲載した反論

 LINE側の主張はこうだ。

  • ゲーム内アイテムが資金決済法における「前払式支払手段」に当たるかどうか、法令上も判断基準が明確ではない
  • このため、専任の法務担当者が常駐し、サービスのリリース前・バージョンアップ前に、同法上の3要件──価値の保存、対価発行、権利行使性──を全て満たしているか否かを基準として、アイテムの外観や使用場面などを総合的に考慮して判断している
  • それでも判断が難しいものは外部弁護士にも相談の上で判断し、事後チェックも行って厳格な運用をしている
  • 2015年5月、全ゲームタイトルを対象に事後チェックを実施したところ、LINE POP「宝箱の鍵」について、社内担当者がメールで問題提起した
  • 専任法務担当者、外部弁護士への相談と検討を経て、7月に実施した仕様変更前でも、同アイテムの外観や使用場面などを総合考慮し、「前払式支払手段」に該当しないと判断した

 LINEは「資金決済法の基準が明確ではないため、常に保守的に対応している」という主張だ。同アイテムの仕様変更も「より保守的な対応」に基づくものだとしており、「仕様変更で規制対象と見なされないよう恣意的な内部処理をし、関東財務局に届け出なかったという事実は一切ない」としている。

 供託金についても「同法上、供託だけではなく、銀行との間で保全契約を締結して資産保全をすることも可能だ。キャッシュアウトするとしても数千万円程度であり、本件が当社の財務状況に与える影響は軽微」と反論している。

 LINEは今夏前にも日米で株式上場を検討しているとと伝えられている。同社は今後について、「引き続き、関東財務局の指導に従って適切に対応する所存」としている。

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