LINEが運営しているスマートフォン向けゲームのアイテムが、資金決済法の規制を受けるゲーム内通貨に当たる可能性があり、関東財務局が立ち入り検査した──という一部報道に対し、LINEは4月6日、「立ち入り検査は定期的なものであり、供託金を逃れようとした事実は一切ない」という反論を公表した。近く株式上場するともうわさされるLINEに何があったのか──。
毎日新聞の6日付報道によると、問題になったのはスマホゲーム「LINE POP」に登場するアイテム「宝箱の鍵」。資金決済法は、プリペイド型ゲーム内通貨を「前払式支払手段」と定義しており、未使用残高が1000万円を超える場合は半額を供託する義務がある。
同アイテムは、ゲーム内に登場する「宝箱」を開けるものとして設定されており、友達の招待などでもらえるほか、ゲーム内通貨「ルビー」を使って購入することもできる。だが使用数に応じてゲームを先に進めることなども可能だったため、同アイテムが実質的にゲーム内通貨として機能しており、「前払式支払手段」に当たるのでは──という声が昨年、社内から上がったという。
同アイテムの未使用残高は当時約230億円に上っていため、多額の供託金が必要になる可能性があったが、7月に同アイテムの用途を制限する仕様変更を実施し、回避した──という。
毎日新聞の報道には「多額の供託金を逃れるため、仕様変更で疑惑を覆い隠した」という同社関係者のコメントも掲載されている。関東財務局は同法に基づき検査し、分析を進めているという。
LINEは6日午前、報道に対する反論を公式サイトに掲載した。「同法の規制の適用を意図的に逃れ、供託を逃れようとしたかのような報道があったが、そのような事実は一切ない」という。関東財務局の立ち入り検査も、前払式支払手段の発行者に対して数年に一度定期的に行われているもので、同アイテムについて必要な届出をしなかったという疑いに起因するものではない、と否定している。
LINE側の主張はこうだ。
LINEは「資金決済法の基準が明確ではないため、常に保守的に対応している」という主張だ。同アイテムの仕様変更も「より保守的な対応」に基づくものだとしており、「仕様変更で規制対象と見なされないよう恣意的な内部処理をし、関東財務局に届け出なかったという事実は一切ない」としている。
供託金についても「同法上、供託だけではなく、銀行との間で保全契約を締結して資産保全をすることも可能だ。キャッシュアウトするとしても数千万円程度であり、本件が当社の財務状況に与える影響は軽微」と反論している。
LINEは今夏前にも日米で株式上場を検討しているとと伝えられている。同社は今後について、「引き続き、関東財務局の指導に従って適切に対応する所存」としている。
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