日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
突然だが、社会人ならば一度くらいは職場や取引先で「利益誘導おじさん」を見かけたことはないだろうか。
例えば、そんなにパッとせず、なんなら仕事のクオリティーにかなり難があるヤバめの取引先なのに、何年も大口の仕事を発注している。おかしいと思っていたら、その会社の社長と部長が若い頃からの友人で、定期的にキャバクラやらゴルフに行く仲と聞いて「なるほど」と納得……なんて話はよくあるはずだ。
このような「利益誘導問題」は大企業、特に投資銀行などはしっかり対策していて、コンプライアンス部門などがチェックする。取締役がこんなデタラメなことをすれば、会社法上の「利益相反取引」に当たるので、解任や損害賠償請求の対象となる。
しかし、それほど大きくない会社で、部長レベルの小さな取引であれば、部下たちが「こりゃ100%癒着じゃん」とツッコミたくなるようなケースも少なくない。日本企業の99.7%は中小企業で、日本人の約7割が働いている。しかも非上場の家族経営がほとんどなので、コンプライアンス違反かどうかをチェックする仕組みが十分に働かない組織も多いからだ。
つまり、本人的には、漫画『課長島耕作』(講談社)の主人公のように仕事がデキるイケおじのつもりでも、周囲からは「あの会社から金でももらってんじゃないの?」と疑われている「利益誘導おじさん」が、日本の職場にあふれ返っているということだ。
ギクッとした人もいれば、「いやいや、私も確かに公私ともに親しくしている取引先に仕事をまわしているけど、それはちゃんとパフォーマンスを公正に判断してだな」と顔を真っ赤にして反論する方もいるだろう。ただ、どういう言い訳をしたところで、「世話になっている人々」に仕事をまわした時点で、世間からは「利益誘導おじさん」のレッテルを貼られてしまうものだ。
そんな「厳しい現実」をこれ以上ないほど分かりやすく学べるのが、「おこめ券」である。
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