クライストチャーチ大地震から5年、現地の復興はどうなっているのか?事例に学ぶ、地方創生最前線(4/4 ページ)

» 2016年04月08日 08時00分 公開
[石川孔明ITmedia]
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生まれ変わりつつあるクライストチャーチ

 こうした草の根レベルでの取り組みに加えて、クライストチャーチ市役所も市民の声を反映させること熱心に取り組んでいる。中心市街地の復興計画策定に際しては、市民からのパブリックコメントを募集した。結果として10万件を超える意見が寄せられ、「緑あふれる街」「アクセスしやすい街」などのコンセプトが取り入れられることになった。

 新たなコンベンションセンターやスタジアム、そして新たなオフィスビルや宅地の開発も急ピッチで進んでいる。将来的には震災前に6000人だった中心市街地の人口を2万人にまで増やす計画だという。街中いたるところで進む工事を眺めていると、震災を機にクライストチャーチがハード面でも大きく変わろうとしていることが伝わってくる。

中心市街地再開発の目玉のひとつ、コンベンションセンターの完成イメージ。画像:カンタベリー地震復興庁

 もちろん華やかな復興プランにはリスクもある。「以前から高かった中心地の地価は再開発によってさらに値上がりしている。建物が計画通りに完成したとしても、その通りに人が戻ってくるとは思えない」と懸念する市民の声もある。東日本大震災の被災地とは社会背景も都市構造も大きく異なるが、ほぼ時を同じくして震災を経験したクライストチャーチの取り組みから得られる示唆は少なくない。未曾有(みぞう)の災害をバネにこの街がどう進化していくのか、今後の動向に注目したい。

プロフィール:

石川 孔明

1983年愛知県吉良町生まれ。地元愛知県にて漁網のリユースで起業後、外資系コンサルティングファームを経てNPO法人ETIC.へ。社会起業家や起業、行政を対象としたリサーチ&コンサルティングを担当。2011年に世界経済フォーラム・グローバルシェイパーズコミュニティに選出。リクルートワークス研究所客員研究員。

NPO法人ETIC.(エティック)

1993年設立、2000年にNPO法人化。起業家型リーダーの育成を通した社会・地域づくりに取り組む。東日本大震災後、東北のリーダーを支えるための「右腕プログラム」を立ち上げ、これまでに127のプロジェクトに対して、228名の経営人材を派遣している。2013年度からはジャパン・ソサエティーの支援のもと日米交流プログラムや助成プログラムも実施。


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