公式SNSはなぜ炎上するのか 要因は3つ炎上の火種(3/5 ページ)

» 2016年04月13日 07時55分 公開
[藤田朱夏ITmedia]

SNSの特性をしっかり理解すること

(3)理解不足

 SNSの運用担当者がFacebookやTwitterの特性をあまり理解していないために炎上することがある。CMなどの広告と、SNSを利用した広告は全く違う。キャンペーンやマーケティング担当者は、これまでと同じ手法を使うのではなく、SNSの特性をしっかり理解した上で利用する必要がある。

事例: Twitterを利用したキャンペーンがスパムと思われて炎上

 某食品会社がTwitterを利用したキャンペーンを行った。自動返信するBOTアカウントを複数作成し、あらかじめ設定したキーワードをユーザーが投稿したらキャンペーン内容を自動で返信するという仕組みだった。ところが、自動返信を受け取ったユーザーには「スパム」ととらえられてしまい、不審に思われて混乱を招き、炎上。結局、キャンペーンはわずか数時間で終了となった。

 失敗の要因は2つ。1つは、「コーヒー」など極めて一般的な言葉を自動返信のキーワードに設定してしまったこと。商品名や企業名などの固有名詞であればともかく、ただ「コーヒー」と投稿しただけなのに自動返信が送られてきたユーザーとしては、その企業から送られてきたとは想起しづらく混乱を与えてしまった。

 それに関連するが、2つ目は、自動返信の内容が完全にPRであったこと。Twitterを利用して企業がユーザーとコミュニケーションを図ることはよくあるが、定型文ではなく、人が書いているからこそ「つながり」が感じられて効果がある。

 1つ目の唐突感に加えて、内容が無機質なPR文であったことから「スパム」と思われてしまったのだ。SNSは、遠く離れた人同士、芸能人とファン、企業と消費者など、日常では接点のない者同士が「つながる」という感覚にこそ強みがある。その特性を理解せず、無機質な文章を機械的に返信してしまったことが失敗要因の根底にあるだろう。

 以上のような炎上事例をみると、ビジネスでSNSを利用するのは難しいと思うかもしれない。だが、情報を発信する上でも、消費者とのコミュニケーションを取る上でも、SNSは紛れもなく有効である。しっかりリスク回避策を取りつつ、活用していくべきである。

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