コンビニオーナー的にはちょっとうれしい「たばこのオマケ中止」コンビニ探偵! 調査報告書(4/4 ページ)

» 2016年05月23日 12時55分 公開
[川乃もりやITmedia]
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売り上げと利益率の問題

 コンビニの店舗には約3000種類の商品を扱っているが、たばこはあまり“うまみ”がない。どういうことか? 利益率が低く、10%ほどしかないのだ。「利益率が低いのだったら、取り扱いを止めれば?」と思われたかもしれないが、たばこを取り扱っている店舗とそうでない店舗を比較すると、たばこを販売しているコンビニのほうが確実に売り上げが高い。理由は2つ。1つは、たばこを取り扱うことで集客力が上がるから。もう1つは、「ついで買い」をする人が増えるから。

 たばこを吸う人で、コンビニでたばこだけを買って帰る人は少ない。コーヒーなどの飲み物やお菓子など、ほかにも何かしら買っていくので全体の売り上げがアップするのだ。

 たばこのついで買いのように思われるシーンであっても、実はそうでないこともある。例えば、たばことコーヒーをセットで買う人は、どちらが目的というわけではなく、どちらも欲しいから買っているのだと思う。


 バブル崩壊後のデフレを経験したわれわれは、賢く買い物をするようになった。以前なら「たばこだけを買うのもなあ」と感じて、ちょっとしたモノを一緒に買う傾向があったが、長引く不景気を経験して、今では「必要なモノだけを買う」という意識が世間的にも徹底されているように思う。

 財務省が値引きではない「オマケ」に首を突っ込んできたのは、たばこメーカーが利益を減らすのではないかと見ているのではないだろうか。オマケを付けることで、メーカーの利益が減少すれば、最終的には税収入が減ってしまう。

 時を同じくして、酒の安売りに対しても規制をかけようという報道があった。このことからも、お上は税収入について見直しを図っていると筆者はみている。

 オマケのライターにまで規制が及ぶのか、タブレット清涼菓子やクーポンといった新しいタイプのオマケだけが対象になるのかはハッキリしていないが、「たばこのオマケがなくなるかも」と聞いて、ニヤリとしたコンビニオーナーも少なくないはずだ。

著者プロフィール・川乃もりや:

 元コンビニ本部社員、元コンビニオーナーという異色の経歴を持つ。「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」を目の当たりにしてきた筆者が次に選んだ道は、他では見られないコンビニの表裏を書くこと。記事を書きながら、コンビニに関するコンサルティングをやっています。「コンビニ手稿


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