なぜ「アイスクリーム」市場は伸び続けているのか高井尚之が探るヒットの裏側(1/4 ページ)

» 2016年06月09日 08時00分 公開
[高井尚之ITmedia]

高井 尚之(たかい・なおゆき/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)

日本実業出版社の編集者、花王の情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部の取材をし続ける。足で稼いだ企業事例の本音の分析は、講演・セミナーでも好評を博す。

「カフェと日本人」(講談社現代新書)「セシルマクビー 感性の方程式」(日本実業出版社)「『解』は己の中にあり」(講談社)「なぜ『高くても売れる』のか」(文藝春秋)「日本カフェ興亡記」(日本経済新聞出版社)など著書多数。 E-Mail:takai.n.k2@gmail.com


 晴れた日は日差しが強く、気温も上がるこの時季は、アイスクリームがおいしい季節だ。消費者調査では「アイスクリームが好き」と答えた人は、実に82.8%となっている(出典:日本アイスクリーム協会「アイスクリーム白書2015」)。商品を供給する側では、7月と8月の最需要期に向けて、小売店店頭の棚取り争いが続く。

 家庭用アイス市場は1994年をピークに10年ほど低迷していたが、2004年頃からは再び伸び続けている。2015年度の売り上げは4630億円で、業界初となる4500億円の壁を突破。3年連続で過去最高の数値を更新したのだ。

 業界関係者に聞くと、「日中の最高気温が25度を超えるとアイスクリームが動き出し、30度を超えると氷菓系アイスが売れるのは事実」だという。だが、近年は夏場の天候不順も多く、それだけでは最高数値の更新理由を語れない。そこで今回はいくつかのメガブランドに触れつつ、メーカーや小売業界の仕掛けを紹介してみたい。

photo アイス市場が伸びている
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.