ローソンは6月28日から、オリジナルデザートブランド「Uchi Cafe SWEETS(ウチカフェスイーツ)」の新作「ピュアチーズタルト」を全国店舗で発売する。北海道産の原料をふんだんに使った商品だ。
このチーズタルトの大きな特徴の1つは、北海道十勝に工場を構える花畑牧場が製造を担っていること。花畑牧場といえば生キャラメルブームの際、代表取締役の田中義剛さんのメディア露出が記憶に残っている人も多いだろう。
なぜローソンはチーズタルトを花畑牧場とともに作ることになったのか、チーズタルトはどのように製造されているのか。北海道の花畑牧場に取材に向かった。
コンビニは近年「コーヒー戦争」「ドーナツ戦争」と猛烈な戦いを繰り広げているが、次に注目されているのが「チーズタルト」なのだという。サークルKサンクスで2015年11月から発売している「濃厚焼きチーズタルト」が1日で6万個売れたのをきっかけに注目を集めている。
今回ローソンが発売するピュアチーズタルトは、カマンベールチーズ、クリームチーズ、ゴーダチーズの3種のチーズを使ったタルト。原材料にこだわり、カマンベールチーズ、クリームチーズ、発酵乳、生乳、生クリーム、小麦粉、砂チーズ――と北海道産づくしだ。
ローソン広報の吉村優香理さんによると、チーズタルト製造の企画は、花畑牧場からの提案で始まったのだという。
花畑牧場は生キャラメルでのヒットが印象的だが、現在は生キャラメルとチーズを主軸に業務展開している。チーズ作りとお菓子作り、両方のノウハウを生かせる提案であると同時に、自社で製造した商品をより多くの人に届ける機会だった。
ローソン側は、花畑牧場の技術力や、商品づくりにおける「できるだけ添加物などの“余計なもの”を使わない」という理念に共感し、ピュアチーズタルトの製造をともに行うこととなった。商品名についた「ピュア」は、“十勝のピュアな乳製品”を意味している。
商品が完成するまでには、何度もローソンと花畑牧場でやりとりを繰り返した。“タルト生地の薄さ”は何度も試作と協議を行った1つだ。
花畑牧場は「タルト生地が厚いと、生地のモサモサ感が強く、中のチーズの風味を味わえない」と考え、生地を薄くするために特殊な機械を導入した。しかしローソンとしては、薄くしすぎたことにより配送中に形が壊れてしまうリスクも案じた。その結果、焼き上げる前の生地を薄さ2ミリメートルにすることに落ち着いた。「2ミリメートルはくずれないギリギリの薄さ」(田中さん)だという。
最も大きな変更点は価格だ。企画当初は200円近くを考えていたが、最終的に決定した価格は158円(税込)。値段を抑えることでメインターゲットの20〜30代の女性が買いやすく、また学生も手を出しやすくなることを狙った。田中さんは「通常の倍以上の経費が掛かっているので、二度とやりたくない値段」と笑いながら言う。
通常ローソンでは、原材料を各地域の工場に配送して製造する方式をとっている。しかし今回のピュアチーズタルトは、全国1万2000店舗分全てを花畑牧場の工場で製造する。北海道産の原料や新鮮なチーズを各工場に送るコストや、工場内の設備を整えるコストを考えると、とても158円では実現できなかった。
作ったばかりのタルトをそのまま出荷すると消費期限の問題があるため、瞬間冷凍をしてから発送する。「チーズには寝かせるとコクが出るという性質がある。冷凍しても品質は変わらず、むしろ冷凍の方がコクが出た。そういう意味でも冷凍というやり方はちょうどよかった」(田中さん)と語る。
全国のローソンに向け、24時間稼働で1日7万個のピュアチーズタルトを製造する花畑牧場。月に75トン作るチーズのうち、30トンを本商品に使用する。花畑牧場のビジネスの中でも、かなり大きなプロジェクトといえる。
1つ試食させてもらった。チーズの味がかなりしっかりしているが、さっぱりと食べられておいしい。田中さんは「この味を158円でやるのが、コンビニエンスストアの面白さ」と胸を張った。
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