一方で、インバウンドの盛り上がりは短期的なものになるとする向きもある。英国のEU離脱が確定すれば、英国で新たな税金が導入されたり、さまざまな新しい費用が徴収されたりすることも考えられる。またこれまでよりも英国に乗り入れる旅客機の数などが減るとの予測もあり、そうなれば運賃が上がる可能性もある。長期的に見れば旅行コストが今以上に高くなると見る向きもある。
ただブレグジットにより中長期的にインバウンドが増加するかどうかを見極めるのは、時期尚早かもしれない。とにかく、まだ英国が正式にEUに対して離脱を通知していない今、そして、EUへの通知から始まる2年間の交渉期間に、ポンド安を狙って英国を訪問すれば旅行者にはお得感があるかもしれない。
ところで根本的な問題として、英国は観光地としては魅力的な国なのかということがある。英国観光局は「#OMGB」というソーシャルメディア・キャンペーンを展開している(参照リンク)。クリエイティブでインバウンドを取り込みたい意気込みが感じられる取り組みである。
今年の夏休みは、ブレグジット・ブームに乗ってみるというのも一案かもしれない。
山田敏弘
ノンフィクション作家・ジャーナリスト。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版に勤務後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)でフルブライト研究員を経てフリーに。
国際情勢や社会問題、サイバー安全保障を中心に国内外で取材・執筆を行い、訳書に『黒いワールドカップ』(講談社)など、著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)がある。
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