このように、相手が「暴力団員」と知っている場合、ゴルフや飲食など、親しくお付き合わないにこしたことはありません。
ところで、ビジネスシーンでは、知らないところで「ビジネス」としてのお付き合いをしてしまう場合も少なくありません。実は、東京都暴力団排除条例24条3項は、暴力団の「助長行為」や暴力団に対する「利益供与」を禁止しています。
このうち、「利益供与」とは、具体的には、
などをいいます。
これらの行為は、たとえビジネス的に「対等な取引」であったとしても、「ビジネスの相手方が暴力団であると知っていながら、これらの活動によって、暴力団の利益となる取引・行動を行った場合」「利益供与」と判断されてしまう可能性があります。
そして、東京都公安委員会は、このような「利益供与」を行った事業者に対し、そのような行為を止めるよう「勧告」を行ったり、「勧告」を行ったにもかかわらず短期間に繰り返し同様の行為を行った事業者などに対しては、「事業者が当該行為を行ったという事実」や「勧告を受けた事実」を「公表」することができます。
要するに、暴力団とは「取引をしない」のが一番です。
しかし、彼らは巧みに素性を隠して、あらゆるビジネスシーンに割り込んできますので、知らないうちに暴力団と取引をしてしまっているケースも少なくありません。
そこで新しい取引に際しては、契約書にあらかじめ「暴力団排除条項」を盛り込んでおくことが大切になります。
既に不動産関連や建設関連の標準約款に盛り込まれている「暴力団排除条項」ですが、これがあることで、「事前に暴力団関係者かどうかを確認した」ことの説明にもなりますし、事後に取引の相手方が暴力団と判明しても、警察や公安委員会に相談するきっかけとすることができます。
また、現在では、弁護士に相談したり、業界団体に相談することで、事前に「暴力団員」かどうかを判別することができる仕組みも構築されています。
このように、新しい取引に際しては、どんなに優しい顔をしている相手方であっても、まずは暴力団、暴力団関係者かどうかを確認する、これが暴力団と“付き合わない方法”の第一歩です。(山岸純)
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