“もう一つのプロ野球” 独立リーグはどのくらい稼げる?新人記者(応援団長)が行く(2/2 ページ)

» 2016年08月23日 06時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]
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鈴木: あまり世間一般では知られていない独立リーグですが、どういった人が入団しているのですか?

ケイスケ: 高卒や大卒でプロ(NPB)に行けなかった人、社会人野球にも行けなかった人、そしてNPBから戦力外通告を受けた人などが集まっています。全員に共通しているのは、NPBへの入団(復帰を含む)や、企業でプレーすることを目指していることです。私も大学でプレーした後、社会人野球の世界を目指したのですが、今の実力では難しかったため独立リーグで鍛えようと思い入団しました。

鈴木: 諦めずに上のステージを目指す人たちが独立リーグで技術を磨きにくるわけですね。独立リーグには、どうすれば入団できるのですか?

ケイスケ: 基本的にはトライアウトを受けます。短距離走や遠投などの基礎能力試験(一次試験)と、シートバッティングなどの実践試験(二次試験)を受けて、あとは声がかかるのを待つという感じです。既に内々的に決まっている場合も多いですけどね。

鈴木: なるほど。入団後の勤務(拘束)時間はどんな感じなんでしょうか?

ケイスケ: 基本的に、平日が練習で週末が試合なのですが、練習が午前中の2〜3時間くらいで、週末は試合が終われば自由です。完全オフは週1日。

鈴木: 意外と自由な時間が多いんですね!

ケイスケ: そうですね。ただ、土曜日がナイターゲームで、日曜日がデイゲームだったりと、スケジュールが体力的に大変なときもありますが……。平日は全体練習が終われば、あとは各自で個人練習をするという感じです。ホームグランド(球場)は自由に使っていいので。

鈴木: ところで、給料体制はどんな仕組みになっているのですか?

ケイスケ: 基本給+インセンティブなので、給料は月々の成績に応じて変動します。MVPなどを取ると臨時報酬がもらえますが、うちのチームの場合は現金ではなくお米などの食料が贈られます(笑)

オフシーズンは無給に……

鈴木: 聞きづらいところですが、給料はどのくらいもらえるのでしょうか?

ケイスケ: 多くはもらっていません。レギュラーの私でも手取りで10万円程。チームメイトがどのくらいもらっているのか正確に把握しているわけじゃないけど、30万円以上もらっている人はいなさそうです。みんな「金欠だー」ってよく話していますし。ちなみに、オフの期間(10月〜2月)は自動的に球団との雇用契約が解消されますので、無給になります。

鈴木: えー! その期間はどうするんですか?

ケイスケ: 各自、自分でバイトを見つけて稼がないといけませんね。もちろん、自主練習もしながら。

鈴木: 道具を買ったり、体のケアにお金が掛かるわけですから、結構カツカツですよね?

ケイスケ: もちろんヘルメットやユニーフォームは支給されますけどね。スパイクやグローブなどは自分でそろえます。ただ、活躍している選手には、スポンサーが付いているケースが多いので、そういう人は比較的安く買えてたりしますよ。

鈴木: なるほど。しかし、それでも一般企業などで働く人と比べると、お金に余裕のある生活はできませんよね。平日は拘束時間が短いですし、シーズン中でも空いた時間を使ってバイトをしている人も多いのでは?

ケイスケ: それはいないですね。生活が成り立たないわけではありませんし、そもそも副業は禁止です……。お金が欲しいのだったら、早くNPBに昇格するか、野球を辞めて稼げる仕事をすればいいわけですから。みんなプロに行くため、背水の陣の覚悟でやってます。

鈴木: なるほど。独立リーグは人生を野球に賭ける男たちの最後の挑戦の場ということですね。その覚悟、十分に伝わってきました。頑張ってください! 本日はありがとうございました。



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