「消滅可能性都市」――。
この言葉を耳にしたことのある読者は多いだろう。これは少子化や人口流出などによって将来的に消えてしまう可能性のある自治体を指し、全国の市町村のほぼ半分が指定されている。
“消滅”までには至らないにせよ、各自治体の人口減少に歯止めが効かないのが現状だ。総務省が先月発表した2016年1月1日時点の「住民基本台帳に基づく人口動態調査」によると、実に41道府県で人口減、秋田や青森では減少率が1%を超えた。国内全体でも、日本人の人口は1億2589万1742人と7年連続で減少、前年からの減少幅は調査開始以来で最大の27万1834人に上った。
そんな世の中の流れに逆行して、人口が増え続けている自治体がある。茨城県つくば市だ。
同市はこの10年間で約14%も人口増加し、今後も緩やかに人口が増えていくと推計されている。その要因として、2005年に「つくばエクスプレス(TX)」が開通したことで、東京(秋葉原)〜つくば間が約45分でつながり、都心で働く通勤者向けの住宅地開発が進んだことなどがあるが、それとともに「つくばの学校に子どもを通わせたい」と移住する世帯が後を絶たないということがある。例えば、市立春日学園義務教育学校は、2012年の開校時から児童・生徒数が約2倍の1800人になったという。
元々、つくば市は研究学園都市としてできた背景があり、国や民間企業の研究所の集積拠点だった。それに伴って筑波大学をはじめとする教育機関が誕生、今では「教育都市」としてのイメージが定着した。2012年度からは市内すべての小・中学校53校15学園において小中一貫教育を実施するなど、教育都市としての変革の歩を止めない。
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