なぜ日本人は“世代論”が大好きなのか常見陽平の「若き老害」論(2/3 ページ)

» 2016年08月25日 06時00分 公開
[常見陽平ITmedia]

一人歩きしてしまう「世代論」「若者論」

 「若者論」というのも「世代論」の一つのジャンルであり、メディアをにぎわせている。古くは「団塊の世代」「太陽族」「新人類」「就職氷河期世代」に始まり、「ゆとり世代」「さとり世代」など、世代に関する言葉はそれなりに流行語になっている。「○○世代」という表現ではなくても、主に若者に関連した、その世代を象徴する言葉も流行する。「草食系男子・肉食系女子」「マイルドヤンキー」「パリピ」などである。

 「世代論」や「若者論」に関する言葉は一人歩きする。私が広めた「意識高い系」についても、「意識だけ高く自己啓発や人脈構築に力を入れているが、どこか能力も意欲も足りなくて、空回りしている残念な人」を指す言葉だったはずなのだが、いつの間にか「若者を萎縮させた張本人」ということで戦犯扱いされてしまった。極めて遺憾である。

 感情を手放して言うならば、この「世代論」はメディアにおいて、あるいは酒の肴(さかな)においても、なかなか優秀なコンテンツだともいえる。前出の「今年の新入社員は○○型」も毎年、テレビや新聞に掲載される。若者の特徴を捉えた言葉はネット上でもバズる。これだけ世代論、若者論を批判的に論じていて何だが、そういう私も「意識高い系」という言葉の仕掛け人ということになっている。

 このように、世代論は不毛だが、それなりに注目を集めてしまうということをまず意識したい。

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