テクノロジーが変える、クルマのカタチ 自動車業界最前線
特集
» 2016年09月26日 06時00分 公開

加谷珪一の“いま”が分かるビジネス塾:激変するタクシー業界 「初乗り410円」本当の狙いは? (2/4)

[加谷珪一,ITmedia]

タクシー業界だけが過当競争に陥ってしまう理由

 だがタクシー業界にとっての本当の脅威はもっと別のところにある。それはシェアリングエコノミーの台頭と自動運転技術の急速な発達である。この2つの新しい潮流が組み合わさると既存のタクシーというビジネスモデルが根幹から崩れてしまう可能性があるのだ。

 シェアリングエコノミーが台頭すると、これまで顧客による選別という概念がなかったタクシーの世界が一変する。これまでの運賃体系は、タクシーは基本的に“流し”が原則であり、顧客は会社を選別できないことを大前提としていた。しかしITの技術を使ってタクシーを選別することが容易になると、運賃設定のメカニズムも大きく変わってくる。

 タクシーの運賃については2002年に規制緩和が行われ、新規参入や増車が原則として自由になった。しかし、自由競争の促進はタクシーの安全性を損なうとの見解が根強く、2014年1月には「改正タクシー事業適正化・活性化特別措置法」が施行され、再び規制が強化されている。具体的には、特定地域において約3年間の新規参入や増車が禁止されている状況だ。

 競争が行き過ぎると安全が損なわれるという話はもっともらしく聞こえるが、よく考えると奇妙な話だ。例えばファストフードの業界は、日々苛烈な競争にさらされているが、安全性を犠牲にして危険な食品が提供されるというケースはほとんどない。

 なぜタクシーだけが自由競争を徹底すると労働環境が劣悪になり、安全性が犠牲になるのだろうか。その理由は、タクシーというビジネスの基本インフラである道路というものが税金で作られており、業界はそれをタダで利用しているからである。タダで利用できるものを自由に解放してしまうと、際限なくコスト競争が行われ、過当競争を引き起こす可能性が出てくるのだ。

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