東大寺学園高校卒業、京都大学文学部卒業。印刷会社営業職、デザイン事務所ディレクター、広告代理店プランナーなどを経て、2004年にコミュニケーション研究所の代表。ブログ:「だから問題はコミュニケーションにあるんだよ」
とんでもない本が出た。その名も『〆切本』。表紙カバーには「どうしても書けぬ。あやまりに文藝春秋社へ行く。」「拝啓 締め切りに遅れそうです」などと記されている。締め切りを守れない作家の言い訳が集められた一冊。すなわち、仕事をするすべての人(=締め切りを抱えている人)にとってバイブルとなる一冊である。
筆者は作家ではない。しがないライターであり、最近ではブックライターと呼ばれる職種にも関わっている。早い話が、どなたかにお話を伺い、それを文章に仕立ててお代をいただく。そんな仕事である。
こういう仕事には、必ず締め切りがある。極端な話、ある日の夕方に取材をして「明日の昼までにほしいんだけど」と言われることもある。「それはいくらなんでも」と言えるかどうかは、相手との力関係だったり、自分の腹の据わり具合に関わる問題なのだろう。気の弱い私は、そう言われても「何とかがんばります」としか言えない。
もちろん、締め切りがあるのは、書く仕事に限った話ではない。おそらく、ありとあらゆる仕事は、それが「仕事」である限り、締め切りがついて回るはず。ただ、仕事の種類や内容により、締め切りの厳しさ(あるいは緩さ)に違いが出てくるのだろう。
本書は、基本的に締め切りを守れないときの作家の言い訳を主としながらも、それだけにとどまらず、締め切りを巡る作家と編集者のせめぎあいとも言える文章で構成されている。人が締め切りについて、どのように考えているのか。締め切りのある仕事を抱える方にとって、一読の価値はあるはずだ。
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