「タフじゃなければコンビニ経営はできない。優しくなければコンビニを経営する資格がない」……だけど、タフであり続けることも、優しくあり続けることも、簡単ではない。
ほとんどの人が一度は利用したことがある「コンビニ」。ニュースやデータからコンビニで何が起きているのかを、推理して、調査して報告します。筆者は大手コンビニの元本部社員、元コンビニオーナー。コンビニの表と裏を見てきた者だけにしか書けないコラムはいかがですか?
「公衆電話をあまり見かけなくなったなあ」と感じている人も多いだろう。大規模な災害が起こるたび公衆電話の重要性は見直されてはいるが、携帯電話やネットが一般的になった今、「連絡をするためのツール」としての役割は終えたように思う。実際、近年ではコンビニの新規店舗でも公衆電話を新たに設置しているところは少ない印象だ。
そこで今回は、コンビニの公衆電話の設置について考えてみよう。
筆者が本部の社員だったころに新店の立ち上げを担当したことがあったが、開店準備に公衆電話設置の申請は欠かせなかった。だが、先にも述べた通り、携帯電話などの連絡ツールが普及したことで利用者が減り、コンビニが公衆電話を新たに設置するにはハードルが高くなったのかもしれない。
NTTに問い合わせてみると、「今後、新規の公衆電話の設置は基本的には行わない」という回答だった。設置の基準は「500メートル四方に公衆電話がないこと」「24時間誰でも利用できること」などの条件がいくつかあり、それらをクリアした場所に設置していくとのこと。全国の電話網をバランスよく維持するために、単に利用者数だけで決めるわけにもいかないようだ。
「いつでも誰でも利用できる」という点では、コンビニこそ公衆電話の拠点としてふさわしいように思うが、一方のコンビニ側は、公衆電話の設置についてどう考えているのだろうか。
筆者の経験則で言うと、コンビニの公衆電話は、あっても問題ないが少しめんどくさいのだ。まずコンビニ側が設置の申請をして、設置の是非はNTTが行い、最終的にNTTからの委託という形で契約・設置をする。設置後は、料金の回収や機器のメンテナンスなどの管理業務は、設置場所であるコンビニが請け負うことになる。
そして、あまり知られていないことだが、実は公衆電話の維持にはそれなりのコストがかかる。次のページで具体的に説明しよう。
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