IoTビジネス戦争が始まった! 日本企業が進むべき道とは

駐車場のシェアリングサービスに参入 IoTも活用、三井不動産リアルティが描く次世代駐車場ビジネス

» 2016年10月19日 10時59分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 コインパーキング「三井のリパーク」を運営する三井不動産リアルティは、駐車場の予約・シェアリングサービス「toppi!(トッピ)」を11月1日に開始する。予約・決済のシステムを開発したエスキュービズムと共に、IoT(モノのインターネット)などの最先端技術を活用した次世代のシェアリングシステムを作り上げていく方針だ。10月18日に開催した説明会で、両社が目指す駐車場ビジネスの将来像を明かした。

photo 「toppi!」のロゴマーク
photo シェアリングサービスで連携する三井不動産リアルティの片岡純市常務執行役員(右から2人目)、エスキュービズムの薮崎敬祐社長(同3人目)

 「toppi!」は、空いている駐車スペースの貸し出しを仲介するサービス。遊休地を有効活用したい所有者は、立地や面積などの審査を経て、駐車スペースを登録できる。自宅前の空き地や店舗などの空き駐車場、バイク置き場となるスペースなどが対象となる。

 一般的なコインパーキングに設置されているフラップ板や精算機などの設備は不要。初期投資なしで貸し出しができる。オーナー向けに売り上げや予約状況などの情報提供も行う。売り上げの6〜7割をオーナーに還元する予定だという。

 利用者にとっては、事前に駐車場を予約できることがメリット。外出先でその都度空いている駐車場を探す手間が省ける。専用サイトを通じて、空き状況の確認から予約、クレジットカード決済まで済ませ、1日単位で駐車場を借りられる。

 また、全国約1万2000カ所、約20万台分の駐車場管理を手掛けてきたノウハウを生かし、安心安全な駐車場を提供。貸し出し前に必ず現地調査を実施することで、事故やトラブルの不安を低減する。

 土地所有者による貸し出しを仲介するだけでなく、「三井のリパーク」の既存のコインパーキングや月極駐車場の一部も予約向けに転用する。好立地である都心や観光地などでも予約サービスの利用が可能となる。

photo 「toppi!」のサービスフロー図
photo 既存のパーキングの一部を予約専用スペースに転用する(イメージ)

 首都圏の東京都と神奈川県に加え、関西、東海地方の都市圏からサービスを開始。順次エリアを拡大していく。サービス開始時点では約500台分が予約可能で、そのうち9割が既存の駐車場からの転用になるという。年明けまでには1000台まで増やす方針だ。

 システムは、エスキュービズムが開発した駐車場用予約・決済システム「eCoPA(エコパ)」を採用。同社は小売店向けPOS(販売時点情報管理)システム開発などに強みを持つ。店舗で駐車スペースを貸し出したいという需要があったことから、2年かけてエコパを開発した。

 サービス開始時点では基本機能のみだが、今後「toppi!」向けの便利な機能を充実させていく。法人向けの一括決済サービスを始めるほか、予約専用スペースに置かれたポールにQRコードを掲載。SNSでログインし、現場ですぐに予約できるようにする。

 2020年に東京五輪・パラリンピックを控え、駐車場需要のさらなる拡大を見込む。三井不動産リアルティは、「toppi!」の会員数を1年で10万人に増やす目標を掲げている。さらに、「最終的には1000万〜1500万人を目指す」(片岡純市常務執行役員リパーク事業本部長)方針。15年に参入したカーシェアリング事業との相乗効果も狙う。

photo 駐車場事業の今後の展開を語る片岡常務執行役員

 また、エスキュービズムと連携し、IoTなどの最先端技術を活用した新しい駐車場ビジネスの構築を進めていく。例えば、需給に応じて予約専用スペースと時間貸しスペースを自動で切り替えることで、駐車場の稼働率を向上させる機能を想定している。また、人工知能(AI)を活用すれば、駐車場の混雑予測機能や需給バランスを考慮した価格設定機能が利用できる可能性も。拡張現実(AR)の活用により、駐車場の内部や周囲の状況を仮想体験する機能も想定できるという。

 安全安心で使いやすい、新しい発想の駐車場をつくり上げる取り組みに、さらなる注目が集まりそうだ。

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