車種を自動判別、最適な屋外広告を表示 AI活用 電通、クラウディアンなど4社が開発

» 2016年10月13日 19時16分 公開
[ITmedia]

 電通、クラウディアン、スマートインサイト、Quanta Cloud Technology Japanの4社は10月13日、AI(人工知能)を活用した屋外広告(デジタルサイネージ)の実証実験に成功したと発表した。デジタルサイネージと連携したAI搭載カメラが車種を自動判別し、車種ごとに最適な広告を配信するという。来年1月の商用化を計画している。

photo 実証実験の様子

 実証実験は9月に東京・六本木の首都高速道路(3号線上り)で実施。デジタルサイネージから300メートル先を走行する車両を、ディープラーニング(深層学習)技術搭載のカメラが300種類以上の車種、メーカー、年式などをリアルタイムに認識・判別して広告を配信した。

 高級車なら高所得者向けの広告を、ファミリーカーならファミリー層向けの広告を配信する――など、車種ごとに配信内容を切り替えることができるという。

photo 膨大な車種データの学習にはクラウディアンが提供するストレージ「CLOUDIAN HyperStore」を採用

 現状ではドライバーの属性まで正確に特定することはできないが、電通のアウト・オブ・ホーム・メディア局 業務統括部、神内一郎部長は「あくまで第1フェーズ。これから、駐車場やPOSなどから得られるさまざまなデータと連携していくことで、車両とドライバーの属性をひも付けることができ、より正確にターゲティングできるようになる」と今後の展望を描く。

 「これまで屋外のデジタルサイネージは、ターゲティングされた広告の配信が難しく、課題だった。しかしAIの活用により、状況に応じた最適な内容の広告をタイミングよく配信できるようになる」(神内部長)

photo 神内一郎部長

 今後は、商業ビルやショッピングモールなどの駐車場に設置するディスプレイ広告などにも対応させていくほか、交通量調査などへの応用も検討しているという。

 クラウディアンの太田洋社長は「近年、ビッグデータ活用のニーズは高まっているが、その中でも画像や映像から得られる価値は大きい。今後、リアルタイムにデータを学習することができるディープラーニング技術の活用は必須になるだろう」と話した。

photo クラウディアンの太田洋社長

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