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ChatGPTを抑え「利用者満足度」1位 AIワークスペース「Notion」が日本人にウケる理由

» 2025年12月17日 06時00分 公開
[大村果歩ITmedia]

 大量のナレッジが分散。さらに、それを管理するためのツールまで細分化されている──コラボレーションソフトウェア「Notion」を提供する米Notion Labs CMOのレナ・ウォーターズ氏は、現在企業が抱える課題をこう指摘する。ナレッジワーカーは平均87種類のツールを使っていると言われており、「どこに何の情報があるか分からない」──“情報地獄”に陥る企業も少なくない。

 Notionは、ドキュメントの作成・共有、プロジェクトの管理、ナレッジの整理などを全て一カ所で行えるワークスペースを提供し、世界で1億人以上のユーザーを抱える。実は、日本はAIサービス「Notion AI」のアクティブユーザー数が多い地域の一つである。国内では、トヨタ自動車やメルカリといった大手企業の他、スタートアップでの導入も多い。

【お詫びと訂正:2025年12月17日午前6時00分の初出で、Notionのアクティブユーザーに関する記述に誤りがございました。12月17日午後7時、該当箇所を修正いたしました。お詫びして訂正いたします。】

Notion。ドキュメントの作成・共有、プロジェクトの管理、ナレッジの整理などを全て一カ所で行えるワークスペースを提供する(公式Webサイトより)

 ICT総研が実施した調査では、Notion AIがChatGPTを上回り、利用者満足度1位を獲得した。

 なぜ、Notionは日本でウケているのか。高い満足度を誇る理由は? レナ・ウォーターズCMOに取材した。

ユーザー数1億人超 「日本は世界でトップの市場」、なぜ?

──Notionの利用者数を教えてください。

 「Notion」のユーザー数は世界で1億人を超えています。ここ数年でエンタープライズ向けに製品を拡大したこともあり、現在は二桁成長となりました(※)。

※一般ユーザーの無償・有償利用の比率は公表していない

 日本はNotion AIのアクティブユーザー数が多い地域の一つ。特に、会議時にAIが記録やノート作成をする「AIミーティングノート」の採用率は、世界で日本が1位です。

 日本では、会社員、学生問わず「ノートを取り、情報を整理して生産性を高める文化」が根強く、Notionはその文化に非常によく合っているのでしょう。

──数あるAIサービスの中で、Notionの差別化ポイントはどういった機能にあるのですか?

 問題は、分散したナレッジを管理するためのツールが多すぎること。一般的なナレッジワーカーは平均87種類のツールを使っていると言われています。

 AIエージェント活用では、ワークフロー構築も重要になります。もしナレッジを一カ所に集結できていたとしても、AIネイティブなワークフローがなければ、AIエージェントによる自動化を実現できません。

 Notionの強みは、複数のアプリに散らばったナレッジを一カ所で、必要な作業とつなげられること。これを、各個人IDのアクセス権限に応じて実現できます。これにより、現在導入しているソフトウェアで重複している機能を見直すことも可能になります。

米Notion Labs CMOのレナ・ウォーターズ氏

 スタートアップでは、さまざまなSaaSと契約することをせず、オペレーションシステムとしてNotionを活用する傾向があります。

 一方大企業は、すでに多くのツールを導入済みで、レガシーシステムに縛られてワークフローが硬直してしまっているケースが多い。DXやAI活用により、業務変革を起こすことを目的とするケースがよく見られます。

生成AIサービスで満足度「1位」 背景にコミュニティの存在

──日本でのNotionの広がりを支えてきたのは、コミュニティの存在も大きいのではないでしょうか?

 日本ではコミュニティがNotionのブランドを築いてきました。デザインや使いやすさ、構築のしやすさは、コミュニティの力によるものです。

 コミュニティからのフィードバックをもとに、5年間にわたり製品改善を続けています。機能改善の内容や、開発、情報発信の方向性を、アンバサダーに事前にリリースし、彼らからのフィードバックを基に、開発やリリースの内容を調整しています。

──ICT総研の調査によると、AIサービス「Notion AI」が法人向けAI満足度でChatGPTを上回ったという結果もありました。顧客の声を、実際に開発に生かした事例があれば教えてください。

 「/」(半角スラッシュ)を入力すると、さまざまな機能を呼び出せるショートカットキーを用意していました。日本語キーボードではスラッシュコマンドが使いづらいという声を受け、日本語環境では特別に「;」(全角セミコロン)でもメニューの呼び出しができるように変更しています。

 他にも、グローバルの機能を日本向けにローカライゼーションした際、コミュニティの皆さんから「これはNotionらしい表現ではない」といったフィードバックを受け、言い回しを調整することもありました。

──コミュニティには学生が多いことも特徴です。

 学生の皆さんも、日々の授業などでノートを取り、情報を整理する必要があります。

 日本では学生コミュニティが非常に活発で、ミートアップやテンプレート共有、AIユースケースの共有などが行われています。学生のみなさんが社会人になって、入社した企業でもNotionを使い続けてもらう──そんな流れができています。

(ICT 総研 2025年7月 法人向け生成AIサービス利用動向調査より)

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