ビジネスにおける変化の速さと競争の激しさは年々増している一方で、人手不足に悩む企業も多い。そんな逆境の中で「売れる営業組織」を作るためには、テクノロジー活用が不可欠だ。特に近年話題となっている生成AIを活用できないだろうかと考える企業は少なくないだろう。
本連載では、いち早く営業フローに生成AIを組み込んだ企業に取材。どのように役立ち、どのような成果が得られるのか、最先端の取り組みを紹介する。
連載第3回となる本記事では、ソフトバンクの生成AI活用を取り上げる。同社では、他社に先駆けて2023年6月からプロジェクトを開始。法人顧客への提案活動を支援するツールを開発・活用し、年間8.7万時間の業務時間削減に成功するなど、大きな成果を上げてきた。
ソフトバンクでは生成AI活用によって営業活動をどのように変革してきたのか。今後の展望も含め、実際に営業活動支援ツールを考案した西原万純さん(法人統括 法人プロダクト&事業戦略本部 生成AIアクセラレーション室 室長代行)に話を聞いた。
営業の提案シナリオ作成やお客さまの分析、サービスや製品に関する試算などの業務を一部自動化しています。2023年6月からプロジェクトを開始し、同年8月から自部署から法人部門全体に広げていきました。
これまで、前年度下期で3.6万時間の業務時間を削減。今年度上期で5.1万時間、1年間で約8.7万時間削減できました。営業活動では工数の削減などに寄与できたと思います。
もともと業務時間削減よりも、法人事業の顧客提案に必要な内容が高度化・複雑化する中、営業力を強化する目的で取り組み始めました。
以前のソフトバンクの法人営業は、お客さまにスマホや当社のネットワークを使っていただくのが主でした。今は「モノ売り」より「コト売り」で、お客さまの潜在課題をしっかり理解・分析し、それに対して解決法をご提案するコンサルティングとしての役割が大きくなっています。こうした状況の中、社内のノウハウや知見を横展開し、営業力を強化する手段の一つとして生成AIは最適でした。DXを推進する当社としても、社員自身が生成AIを使いこなすことは重要だと考えています。
実際、生成AIの導入でお客さまへの提案内容のベースを生成AIで作成できるようになり、営業担当者の業務負担の軽減につながりました。今後、さらなる高度な提案作成ができるように、お客さまの関心・興味が高い領域をレコメンドする機能の搭載を検討しています。
また、当社のサービスや製品ラインアップが拡大し、提案内容が高度化する中、若手社員のスキルアップにも早期に取り組む必要があります。生成AIの活用により、ベテラン社員のノウハウの継承と若手社員のボトムアップが実現できていると感じます。
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