営業パーソンの生成AI活用に注目が集まっている。生成AIを使って営業の効果を最大化する、効率化する、スピードを上げる、型化する、マネジメントする……。未来の可能性に期待が高まるばかりである。
この記事では、生成AIを活用した営業活動の刷新について解説したい。すぐさま自社の営業に取り入れるノウハウを多く詰め込んでいる。
本記事は営業パーソンの生成AI活用に語るものだが、まず大前提をお伝えしなければいけない。生成AIはChatGPT一択ではない。
自動車にも、軽自動車からトラック、スポーツカーなど、用途に合わせていろいろな種類がある。同じく、生成AIも種類がある。文章の生成に強いもの、リサーチに強いもの、画像作成に強いもの……など、代表的な製品は数十種類以上に及ぶ。「生成AI サービス一覧」と検索すればさまざまなものが出てくるだろう。
また、それら各製品のサービスにはさらに料金プランがある。どのプランやバージョンを選ぶかによって、生成の精度が違う。一般的には無料プランは精度が低く、良いプランになれば精度が高いなどの濃淡はある。
そのため、生成AI活用と言って何でもかんでも混在してはいけない。「どのサービスの何のプランをどう使うか」という前提の目線がそろって、営業パーソンの生成AI活用の議論ができる。
広く一般化して、生成AIを使える・使えない――と議論をすると誤解が起こる。「このサービスのこのプランに、こんな情報ソースを入れてこう生成したときに使える」まで落とし込まないといけないのだ。
では、営業が使うべき生成AIサービスは何か? ズバリ答えを言ってしまおう。
さまざまな生成AIサービスを試して、現状筆者がもっとも営業パーソンが使えると思ったのは「Claude3のOpusプラン」である。
ChatGPTを開発するOpen AI社にはMicrosoftが大きく出資をしていることで知られている。一方、GoogleとAmazonが大きく出資をしたのがClaudeを開発するAnthropic社だ。
ClaudeはPDFのアップロードで情報をインプットして、そのうえでテキスト生成を依頼できる。しかも生成の精度が高く、表現が流暢だ。それらの特徴を生かして、営業活動はどうアップデートできるか見ていこう。
結論から言えば、営業商談における、「事前調査」「アジェンダ」「議事録」「ネクストアクション」などの高速作成で使える。“爆速”でできるようになるので生産性が飛躍的に底上げされる。
ただし、注意点もある。生成AIは人が作る手料理に対して、インスタント料理に近いと覚えておこう。早くておいしい。ただ、当然ながらじっくり手間暇をかけたほうがいいものはできる……。
生成AIを使えば、素早く顧客の調査ができて、早く商談のアジェンダが定まり、早く議事録が作れて、早くネクストアクションが明確化する。もちろんじっくり人がやったほうが今は精度が高いけれど……そんな温度感だ。コミュニケーションを取るべき顧客数が多く、スピーディーに対応しなければならない場合などは、AIに助けてもらいながら作業をする方が効率的だろう。
AIによって情報処理のスピードが向上することは、仕事のアウトプットスピードの向上につながる。仕事を早く行えることで、多くの顧客に対して効率的にコミュニケーションできる。結果的に目の前の顧客にじっくり時間を使えるようになるので、丁寧な顧客アプローチができるようになる。
次の項から、商談前、商談当日、商談後の各プロセスにおける生成AIの適応範囲を整理し、具体的な活用術について触れていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング