AIが精度高く作成した議事録は、有効活用するべきだ。最もおすすめの活用方法は、商談分析での活用だ。具体的には、AIが生成した議事録から、顧客のポジティブ、ネガティブな反応を洗い出す。
「顧客からもらったポジティブ・ネガティブそれぞれTOP3のコメントを解説してくれ」と議事録データを生成AIに渡して命令する。もしポジティブなコメントが良く、再利用したいような表現なら、これを営業トークや製品紹介資料に反映させる。
ネガティブなコメントを確認し、もし対策が必要な内容で、何かしら反論するべきものであれば、セールストレーニングやセールスコンテンツ作成などのセールスイネーブルメントで対策する。「ネガティブなコメントであるXXXの懸念を払拭するためのセールスコンテンツを3000字で書いてほしい」と命令すれば、ライターも驚くレベルの記事が作成できる。このコンテンツを顧客への提案時や社内教育に活用するわけだ。
仮説作成→アジェンダ作成→商談後に議事録作成→議事録から商談分析→ポジティブ/ネガティブ対策のセールスコンテンツ作成(セールスイネーブルメント)――。この順番でグルグルと改善を重ねていくことで、営業提案のレベルが組織的に高まる。顧客理解の精度、商談の時間の使い方、ネクストアクションの整理、セールストークや情報提供の磨き込みなどが高性能で行えるようになる。
さらに、商談分析の結果、優れた商談内容はテンプレートとして設計すると良い。デジタルセールスプラットホームにテンプレートとして格納し、商談前後でいつでも引き出せるようにする。外資系のIT企業の多くは、Playbook(プレイブック)と呼ばれるセールス向けのTipsコンテンツ集を営業部門で作成し、活用している。
米国のセールストレンドは日本にも輸入されるので、営業組織のPlaybook文化も日本で当たり前になる日が来るだろう。「言語化」という生成AIの強みを生かし、言葉で整理された情報をコンテンツにしたり、テンプレートにしたりすることを繰り返すと、会社の営業資産になる。セールス活動のノウハウ言語化はまさに人的資本経営に資する行為であり、あらゆる営業組織で取り組むべきだ。
商談を分析したときに、そもそもセールスでは対応できないような製品サービスの不備の話題も出てくる。「こんな機能を改善してくれたらな……」といったコメントだ。営業部門が営業のデジタル化、生成AI活用を深めていけば、この開発改善のためのアイデア整理も生成AIから分析、アウトプットすることができる。つまり事業開発のPDCAで使えるようになる。
「この議事録からプロダクトへのネガティブな反応を抜き出してくれ」「どんな製品改善をすればいいかアイデアをくれ」「開発部門に共有したいのでXXXのフォーマットで整理してくれ」と命令すれば、生の顧客の反応から製品改善のヒントが出てくるだろう。生成AIによって組織の垣根を超えることも可能だ。
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