商談においては、「顧客のことを事前に知っているかどうか」で話の流暢さが変わる。ヒアリングの精度が上がり、議論な活発化し、提案が刺さるようになるので、素早い顧客情報収集は必須だ。
相手が上場企業であれば、顧客の詳細はIR情報のページでPDF資料が掲載されている。
生成AI(以降はClaude3 Opusを前提とする)は、今期や戦略発表などのプレゼンテーションで使われている資料をPDFで落として端的に要点をつかむことに適している。インタビュー記事や、顧客のWebサイト情報でもいい。コピー&ペーストで生成AIに情報を渡そう。
情報をアップロードして、端的にまとめてくれと命令する――やることはこれだけだ。
IR資料は一社一社、全ページ丁寧に読むと大変である。もちろん、ちゃんと読み切ることが理想的だ。しかし、営業は毎月、多くの企業に対して提案する必要があり、顧客情報収集にかけられる時間は限られている。だからAIでショートカットして、要点だけチェックするわけだ。
また、顧客に対してどんな提案をするか、提案の仮説も商談の前段階でAIによって作れる。自社の製品資料PDFを読み込ませて、どんな提案ができそうかの仮説作成をお願いする。情報インプットは多ければ多いほど提案の精度が上がるため、なるべく顧客の情報をAIに読み込ませよう。
順番としては、まず顧客のIR情報からClaude3を使って要点を理解する。該当企業のIR資料のPDFをアップロードし、「このIRの概要を教えてくれ」「◯◯の課題について触れてる表現を抜き出してくれ」「注力している取り組みを洗い出してくれ」などと指示しながら理解に努める。
そのうえで「こういう方向性だったら提案できるのでは?」と自分の頭でさっと考えて、それをClaude3の投稿欄にメモしながら、自社の製品資料PDFをアップロード。「この会社の◯◯の課題に答える形での提案仮説を考えてほしい」と命令する。
そうすれば、生成AIは具体的にこんな提案が出来そうだとアウトプットを出してくれる。ポイントは、全てAI任せにせず、課題の特定や提案の方向性などは、自分で当たりを付けながらAIに命令することだ。ここで全てをAIに任せると、ハルシネーション(事実に基づかない情報を生成)に気付けず、かえって信用を損ねる可能性がある。
自らも仮説を持ちながら生成AIに提案仮説を作ってもらうと、はじめの段階でも相当に立派な提案が出来上がる。「ここまで調べて、こんなふうに提案できるかもしれない」という仮説を持った状態は、商談をスムーズに進める。
仮に間違っていても仮説なので、商談の中で「違うよ」と言われても、修正すればいい。生成AIを活用し、「こういう取り組みが一緒に出来そうだ」という仮説をスピーディーに、なるべく精度高く準備することが重要なのだ。
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