日本のソフトウェア技術者は労働時間が長い一方、やりがいや満足度は低い──同志社大学技術・企業・国際競争力研究センターの5カ国調査でこうした結果が出た。ソフトウェア技術者が長時間労働にあえぎながら仕事に不満を抱えている現状が浮き彫りになった形で、同センターは「速やかな改善が必要」と指摘している。
日本と米国、ドイツ、フランス、中国のソフトウェア技術者個人を対象に、2015〜16年にかけてアンケート調査した結果をまとめた。
週当たり51時間以上働いている割合が最も多かったのは日本で、27.2%と3割近い。中国は2番目に多かったが、割合は10.5%と日本に比べ低く、3番目の米国も6.8%だった。
一方、週当たりの労働時間が40時間未満だった技術者は、日本では4.3%に過ぎなかった。だがドイツは91.7%、フランスも76.4%が40時間未満。欧州2カ国よりは少ないものの、米国も40.6%が40時間未満だった。
給与面で見ると、年収を労働時間で割った時給に換算(為替レートを考慮)した場合、最も高いのは米国で、日本は4番目だった。物価の差を調整すると、日本の31〜40歳の時給は2751円で、ドイツの同年齢が受け取る5617円相当の半分に満たなかった。
自分自身の生産性への評価や、仕事に対する満足度についても日本の技術者は低かった。「自分の能力を発揮できる」といった仕事生産性への評価についての指標は、ERP(基幹業務システム)ソフト技術者、組み込みソフト技術者、その他ソフト技術者の3分野ともマイナス。「今の仕事は面白い」「自分の納得できる報酬や地位を得ている」といった満足度の指標も、3分野ともマイナスだった。3分野の技術者で全てマイナスだったのは日本だけという。
同センターの中田喜文教授は「日本のソフトウェア技術者を取り巻く労働環境は、長時間労働とそれに見合わない心的労働生産の両面から見て、速やかに改善を必要とする」と指摘している。
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