デンソーの2016年4〜9月期は、情報通信機器などの生産量が増加したものの、円高が利益を大きく押し下げた。通期も減益予想だが、合理化よる生産性向上で利益の上積みを図る。
このほど発表した16年4〜9月期連結決算(国際会計基準、IFRS)は、売上高が前年同期比2.3%減の2兆1769億円、営業利益は3.6%減の1426億円、純利益は13.8%減の974億円だった。
国内、海外ともに車両生産の増加や拡販により生産量が増加。物量ベースでは前年同期よりも7.7%増加した。特に、カーナビゲーションシステムや自動ブレーキ、センサー製品などの「情報安全分野」は18%増、エンジン制御や駆動系製品などの「パワトレイン分野」は7%増だった。
その効果で国内の売上高は0.7%増。海外も、為替の影響を除いた現地通貨ベースでは大幅な増収増益だった。
しかし、前年同期と比べてドル、ユーロとも17円円高に。円高の影響を盛り込んだ通貨換算ベースだと、北米、欧州、アジアの各地域が減収。営業利益は増益を確保したが、大きく目減りした。
全体では、生産量の増加や拡販による操業度差益が520億円発生したのに対し、円高による為替差損は590億円。為替の影響を補いきれなかった。
通期の見通しは、営業利益を上方修正し、前期比8.1%減の2900億円とした。従来予想の2840億円を60億円上回る。積極的に実施している合理化投資の成果を織り込んだ。IoT(モノのインターネット)活用などでコスト競争力を高める「ダントツ工場」の取り組みをさらに強化する。
一方、売上高は3.2%減の4兆3800億円に下方修正。従来予想を200億円下回る。国内は消費増税が延期されたことで駆け込み需要が見込めなくなった。また、中国の小型車減税の終了が予定されていることから、その影響を織り込んだ。
通期の想定為替レートは1ドル=105円、1ユーロ=117円。車両生産台数は、国内894万台、海外日系車1952万台にそれぞれ下方修正した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング