調査会社の米Gartnerはこのほど、2017年に企業や組織にとって重要性を持つであろう戦略的テクノロジートレンドのトップ10を発表した。前年に引き続き「デジタル・メッシュ」が中心的なテーマとなっている。
デジタル・メッシュとは、アプリケーションおよび情報へのアクセス、またユーザーが利用するソーシャルコミュニティー、行政サービス、企業とのコミュニケーションなど、エンドポイント群で構成される環境を意味する言葉。デジタル・メッシュには、モバイルデバイス、ウェアラブル、家電、車載デバイス、環境デバイス、IoTセンサーなどが含まれる。
そうしたデジタル・メッシュに対してより焦点が当たる中、2017年に同社が注目するトップ10は以下の通りである。
1. 高度な機械学習とAI
人工知能(AI)と高度な機械学習(ML)は、多くのテクノロジーおよびテクニックで構成。この領域では、理解、学習、予測、適応といった新しい能力、さらには自律的なオペレーションの可能性を有する、従来のルールベースのアルゴリズムを超えたテクノロジーが登場しつつある。具体的には、物理的デバイス(ロボット、自律走行車、家電)およびアプリとサービス(仮想パーソナル・アシスタント[VPA]、スマート・アドバイザー)が含まれる。
2. インテリジェントなアプリ
VPAなどのインテリジェントなアプリは、人間のアシスタントが行う仕事のいくつかを実行し、日々の作業を楽にするとともに、ユーザーの効率を高める役割を果たす。また、仮想顧客アシスタント(VCA)のようなアプリは、セールスや顧客サービスといった分野の作業などにより特化する。今後10年間で、事実上すべてのアプリおよびサービスは、一定のレベルのAIが取り込まれるとする。
3. インテリジェントなモノ
インテリジェントなモノとは、例えば、ドローンや自律走行車、スマート・アプライアンスなど。融通の利かないプログラミングモデルによる実行の先を行き、応用AIおよび機械学習を発展させて、高度な振る舞いをするとともに、周囲の環境や人とより自然にやり取りする物理的なモノを指す。
4. 仮想現実と拡張現実
仮想現実(VR)および拡張現実(AR)などのイマーシブ(没入型)テクノロジーは、個人間および個人とソフトウェアシステムとのやり取りの方法を変革する。
5. デジタル・ツイン
デジタル・ツインは、センサデータを使って、状態の把握、変化への対応、運用の改善、付加価値の提供を行う物理的なモノやシステムの動的なソフトウェアモデル。3〜5年以内に、数億個のモノがデジタル・ツインによって表されるようになり、企業や組織は、デジタル・ツインを使用して、設備サービスの計画や事前の修理、製造工程の計画、工場の運営、設備の障害予測や運用効率の向上、強化製品の開発を行うようになる。
6. ブロックチェーンと分散型台帳
ブロックチェーンは、ビットコインや他のトークンによる価値交換取引が連続的にブロックへとグループ化された分散型台帳の一種。現在のハイプ(誇大な宣伝)は金融サービス業の周辺で発生しているが、他にも楽曲配信やID検証、タイトル登録、サプライチェーンなど多くのアプリケーションが考えられる。
7. 会話型システム
会話型インタフェースで現在焦点が当てられているものは、チャットボットおよびマイク対応デバイス(スピーカ、スマートフォン、タブレット端末、PC、自動車など)である。デバイス・メッシュが進化するのに伴い、接続モデルは拡張するとともに、デバイス間のより大規模な協調的なやり取りが出現し、継続的で環境に溶け込んだ新しいデジタル・エクスペリエンスの基礎が築かれる。
8. メッシュのアプリ&サービス・アーキテクチャ(MASA)
MASAでは、モバイルアプリ、デスクトップアプリ、IoTアプリがバックエンドサービスの幅広いメッシュにリンクして、「アプリケーション」としてユーザーに見えるモノを形成する。
9. デジタル・テクノロジ・プラットフォーム
デジタル・テクノロジ・プラットフォームは、デジタルビジネスの基本的な構成要素を提供するとともに、デジタルビジネスの不可欠なイネーブラでもある。ガートナーは、デジタルビジネスのビジネスモデルを実現する5つの重点ポイントとして、情報システム、カスタマー・エクスペリエンス、アナリティクスとインテリジェンス、IoT、ビジネス・エコシステムを挙げる。
10. アダプティブ・セキュリティ・アーキテクチャ
インテリジェント・デジタル・メッシュ、および関連するデジタルテクノロジープラットフォーム、アプリケーション・アーキテクチャによって、今後複雑なセキュリティの世界が形作られるとする。
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