人とAIの共存で進化する「おもてなし」

活躍できる職場をAIがレコメンド 人事業務の最適化で「輝ける人を増やす」【総力特集】人とAIの共存で進化する「おもてなし」(3/3 ページ)

» 2016年11月02日 07時00分 公開
[鈴木亮平ITmedia]
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AIが最適な人事配置

 HRMOSではさらに人事配置の最適化もサポートする。採用側が「良い人材を採用できた」と思っていても、配属先の現場ではうまくいかないというパターンは当然ある。竹内氏は「各部署にヒアリングをしたとしても、その現場で活躍できる人を配置(採用)することは“人の判断”では難しい」と説明する。

 「例えば、『うちには創造性溢れる人が欲しい』と現場がリクエストしたとしても、本当にそのタイプがその部署で評価されるとは限らない。そういうタイプの人をマネジメントできる部署なのかどうか現場も分かっていなかったりする」(竹内氏)

 HRMOSでは、この部署の上司(上長)はどんなタイプの人を評価しているのか、どんな人が活躍(売り上げなどの数字から活躍度合いを判断)しているのかというデータを分析。その統計から、その人が比較的評価されやすい部署をレコメンドができるようにする。もちろん、新卒社員の配属先を決めるときだけでなく、既存社員を適材適所に配置する際にも生かせる。

 同社は今年6月から米Salesforce.comと連携し、採用した社員が入社後にどのように成果を挙げているのか、より細かく分析しできるようにサービスのさらなる強化に取り組んでいる。

AIの活用によって職場で輝ける人を増やす

 竹内氏は「特に、社内でネガティブな評価を受けている人は、本来得意な部分(強みの部分)が目立たずに、力を発揮できないまま終わってしまうケースが多い。そうした人たちをどう"輝かせる”かがHRテックの大きな意義になっている」と語る。

 「経営側から考えても、輝けていない人が職場に多くいる状態は人的リソースの無駄使いになる。最適な人事配置によってより活躍できる(評価される)人を増やしていくことが生産性の面で重要になる」(竹内氏)

 最適な人事配置は離職率の抑制にもつながるだろう。今後、生産労働人口の減少に伴い人材の確保がより困難になる中では、こうしたタレントマネジメントの重要性が増しており、AIによる最適化は必須なのかもしれない。一方、竹内氏は人が担う人事の役割については「新しい事への挑戦」が残ると話す。

 「AIは、あくまで過去のデータからしか判断できないので、過去に前例のない未知への挑戦(改革)はAIにはできない。どのタイミングで、どんな改革(働き方改革など)を実行していくのか。それは最後まで人が担う仕事になる。AIの活用によって、人がよりそこに注力できるようになる」

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