トヨタ中間期は5年ぶり減収減益 販売台数増も円高響く(1/2 ページ)

» 2016年11月08日 19時31分 公開
[加納由希絵ITmedia]

 トヨタ自動車が11月8日発表した2016年4〜9月期連結決算は、営業利益が前年同期比29.5%減の1兆1168億円だった。販売台数の増加や原価改善活動の効果もあったが、円高による為替変動の影響で利益が目減りした。通期は原価改善の成果などを織り込み、営業利益を上方修正。前回予想を1000億円上回る1兆7000億円を見込む。

販売台数は増加

 16年4〜9月期の売上高は7.2%減の13兆705億円、純利益は24.8%減の9461億円。中間期として5年ぶりの減収減益だった。

 販売面では新型車の投入などで着実に成果を出している。ダイハツ工業、日野自動車を含むグループの総販売台数は1.8%増の506万7000台。新型「プリウス」や「シエンタ」などが好調な日本で販売台数を伸ばしたほか、東南アジアで新興国戦略車「IMV」の新型車などの販売が堅調だった。

 一方、円高の影響で収益の確保に苦戦。日本では為替変動の影響や経費の増加が重荷となり、営業利益が半減した。全体では為替差損が5650億円発生し、営業活動や原価改善で補いきれなかった。

photo 決算について説明する伊地知副社長

地道な収益改善を継続

 通期予想は、売上高を前期比8.5%減の26兆円に据え置いた一方、利益を上方修正。純利益は前回予想を1000億円上回る、33.0%減の1兆5500億円とした。為替レートを前回予想より1円円安の1ドル=103円に見直したことに加え、原価改善や営業活動による効果650億円を織り込んだ。英国のEU離脱表明直後に立ち上げた緊急収益改善活動が順調に進んでいるという。

 一方、販売台数は下方修正。グループ総販売台数は前回予想を5万台下回る1010万台の見通し。前期の1009万台とほぼ同じ水準を見込む。

 特に北米の販売台数は、前回予想を6万台引き下げた。全体の市場は堅調に推移しているものの、ガソリン価格が安くなっていることで、スポーツタイプ多目的車(SUV)やピックアップトラックの需要が拡大。日系メーカーが得意な乗用車の市場が縮小し、販売競争が激化している。市場環境を踏まえて、SUVやピックアップの需要に対応しながら、乗用車の主力モデルの販売努力を積み重ねる方針だ。

 成果を見込む原価低減活動について、会見した伊地知隆彦副社長は「『売り』はない。これまでと同様、地道に粛々と進めている」と言い切る。4月のカンパニー制導入により、改善活動のスピード感は増したが、仕入れ先との原価低減、工場や物流の効率化など、基本的にはこれまでと変わらない活動を継続していくという。

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